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呪いのG☆D★KILLER ~彼女は彼女の為に。~  作者: ボンバイエ
第一章 見知らぬ人。見知らぬ場所。
5/31

気絶と感動。


「ドッキリ成功。」


Vサインを作る私の親友はお茶目な笑顔を見せる。

彼女の言う通り、私は驚いた。だから成功だろう。が、しかし・・・。


「ちょっと!心臓が止まるかと思ったじゃない?!」


「へへへ。凛ちゃんの驚いた顔が見れた。」


やった~!

とか言っているが、凄すぎる。


「これは?」


『我はご主人様に召喚されしフェンリルのサラ。ご主人様の御親友殿。以後お見知りおきを。』


「です。テヘ。」


「です。テヘじゃな~い!」


二度目の絶叫。いや正確にはもっとしているか?


「もう。お願いだから、驚かすのは止めて。ね?」


「う~ん。わかった。」


なんか、モヤッとする返事だが、了承してくれた。

彼女?はフェンリルという種族の魔物で、玲ちゃんの従魔だそうだ。主従関係にあるらしい。

名前はサラちゃん。


「で、サラちゃんを何故、呼んだの?」


「乗るから。」


「そうか。乗るのか~。って乗る?!」


「そう。サラちゃんに乗るの。サラちゃん、頭下げて。」


『かしこまりました。』


大きな頭を下げるサラちゃん。

サラちゃんの体に乗る玲ちゃん。


「えっ?本当に乗るの?冗談じゃないの?」


「うん。冗談じゃないよ。早く乗って。」


まごまごしていると、玲ちゃんが一度降りて来て、強制的に乗せられた。


「力、強くない?」


「うん?まぁ、この世界で強くなったから?」


何で、疑問で返されるのだろうか。不思議だ。


「じゃあ、行こう。」


『かしこまりました。しっかり掴まってください。』


そう言って、フェンリルは走り出した。


「は、はやい?!」


体感速度は100キロを越えている気がする。正確な情報じゃないけど。


「何で、平気なの?」


ケロッとしている玲ちゃんに私はツッコんだ。


「慣れたから?」


また、疑問形で返された。


私のサラちゃん初騎乗の記憶はここ迄だった。



◇◇◇◆◇◇◇



「う~ん。」


「気がついた?」


私の視界には玲ちゃんの顔があった。


「ごめん。速過ぎたかな?」


「ううん。私の方こそごめん。気絶していたみたい。」


お互いに謝り許し合う。


「で、ここは?」


「もう直ぐ街に着く所?」


私の体は、地面に横になっている様だ。

私の下には、シートが広げられているのか、サラッとしていて、ヒンヤリ冷たい。

私は体を起こそうと、起き上がろうとするが、ガシッと玲ちゃんに止められた。


「もう少し、横になって目を瞑って。」


「う、うん。」


私は言われるままに、目を瞑った。

すると、眼とオデコを包み込む感じにひんやりと冷たくなった。

気持ちいい。


そのまま三十分位同じ状態だった。


「もう、起きて良いかな?もう、我慢できないよ。」


「わかった。」


玲ちゃんに許可を貰うと、目とオデコを包んでいたモノが無くなった。

眼を開けて起き上がる。


「ありがとう。」


「ううん。私の所為だから、気にしないで。」


横に首を振り申し訳なさそうな顔な玲ちゃん。

その顔を見ると私はどうしてもしてしまう事がある。


「うふふ。もう。凛ちゃん。そ、それはしないで。ふふふ。」


「だっで。」


変顔だ。

私は手を使って横に伸ばしたままの口で答えてしまい、変な言葉になったのだが、それを玲ちゃんは汲み取ってくれたみたいだ。


「ごめん。そんなに申し訳なさそうな顔になってた?」


「うん。」


「もう。凛ちゃんには敵わないなぁ~。」


やはり、私は玲ちゃんを知っている。

その確証を得る為に変顔を決めるというのも変だけど。


「その顔は反則だよ?もう。」


目の端に涙を浮かべて笑う玲ちゃんの顔は尊い。

同じ顔を見ていた気がする。

何度も何度も。


「じゃあ、行こうか?」


「うん。で、後どれ位なの?」


「そうだね。後10分位?って所かな?」


「もしかして、あのサラちゃんにもう一回乗るの?」


「ふふふ。大丈夫。さっきみたいに早く走らないから。」


「ほ、本当に?」


『大丈夫です。御親友殿。先程は申し訳ありませんでした。』


ヌッと起き上がり頭を下げるサラちゃん。

こう見ると本当にカワイイ。

カワイイは正義だ。


「うん。こちらこそ、ごめんね。気絶しちゃって。」


サラちゃんの頭をナデナデする。

モフモフしていて気持ち良い。


「ふふふ。気持ち良いでしょ?」


「うん。気持ちいい。」


自慢気に胸を張る玲ちゃんもまたカワイイ。

そのまま玲ちゃんの頭もナデナデした。


「ちょっと?」


「へへへ。カワイイ。」


驚いた顔になった玲ちゃんは私の言葉を聞いて黙って撫でられてくれた。


『むむむ。流石は御親友。』


サラちゃんの言葉の意味は分からなかったけど、尊敬されたのだという事は分かった。


「もう、良いよね?このままじゃ街に入れなくなっちゃうよ?」


顔を真っ赤にした玲ちゃんのこの言葉を聞くまでナデナデは続いた。

街に入れなくなると野宿が待っている事は理解できたから、渋々手を離した。


「仕方ないなぁ~。」


「さぁ、凛ちゃん。サラちゃんに乗って。」


ガッチリと玲ちゃんにホールドされた私はサラちゃんに乗せられた。

街までの間は本当にゆっくりと歩いてくれたサラちゃん。

本当に直ぐに街についた。


「少しずつサラちゃんのスピードをあげるからね?」


「えっ?!マジ?」


「うん。マジ。じゃないと旅が滞るもん。」


「うぅぅぅ。」


「諦めて。」


「・・・わかった。」


『街が見えてきましたよ。』


渋々で承諾したタイミングでサラちゃんからの報告が上がってきた。

サラちゃんが見ている先に視線を向けると、そこには長く高い壁が見えてきた。


「うわぁ~。小説の世界みたい!」


圧倒的スケールの壁。

後から聞いた話だけど、世界中の街は壁に囲まれているそうだ。

理由は単純明快で、外敵となる魔物が居る世界だからだ。


私は産まれて初めてみるその壁に圧倒された。

もしかしたら、私の眼はキラキラしていたのかもしれない。

隣でくすくす笑う玲ちゃんの顔が見えたから。

マジ尊い!


次回更新は

2021年10月6日12:00

よろしくお願いします。

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