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呪いのG☆D★KILLER ~彼女は彼女の為に。~  作者: ボンバイエ
第一章 見知らぬ人。見知らぬ場所。
31/31

いつも通り。

予定通り更新。


「エアスラッシュ!」


私のスキルによって二つに分かれたミノタウロスはいつもの様に消えてなくなり、大きな角二本と大きなミノタウロスの斧が残されている。

私はそれらを素早く魔法鞄にしまうとこのボス部屋内を隈なく捜索する。


「やっぱ、跡形も無いかぁ~。」


『凛よ。そうガッカリするな。』


「だってさぁ。手がかり一つ無いんだよ?」


『それも仕方あるまい。匂いの一つすら残っておらんのだ。』


諦めろと言いたい顔をするハイホワイトファングのキロロに私は愚痴る。

そう、あの出来事から既に半年が経っている。


あれから私はサラちゃんの眷族に連れられて洞窟を脱した。

泣きじゃくる私はさぞかし面倒だっただろう。

そして私は一ヶ月もの間をホテルの中で過ごした。

ボーっとしては思い出し泣いて、またボーっとする。

引き締まった体が緩みまくった事に気がついて外に出る様になり、玲ちゃんの厳しい訓練を思い出しながら鍛錬に勤しんでいるといつの間にか一ヶ月が過ぎていた。

そんなある日、街の外でサラちゃんの眷族に出会い、キロロを紹介された。


何故ハイホワイトファングかって?

私の魔力量ではギリギリ命名出来た相手がこの子だったというだけだ。

魔力量があれば玲ちゃんと同じ様にフェンリルだって命名出来たハズ・・・たぶんだけど。


『何か、侮辱めいた事を考えておらぬか?』


「えっ?そんな事は考えて無いよ?うん。」


ジーっと見つめてくるキロロの視線に耐えられなくてそっとソッポを向いてしまう私はダメな奴だ。

バシッとキロロさんの尻尾攻撃を後頭部に受ける。


「イタっ!」


『ふん!』


「ごめんってば。怒らないでよう。」


私は慌ててキロロの首の下を擦る。

どうも犬や猫と同じ様に気持ちがいいポイントは似ている様で、ここは喜ぶポイントだ。


『止めぬか!馴れ合いもこれまでだ!』


「はいはい。キロロ様、すいませんでした。」


『ぬぅ!』


言葉では厳しい事を言っているがキロロの尻尾はフリフリ大きく揺れている。

初々しい奴め。


少しの間、そうやってじゃれ合い、嫌な現実から逃避する。


「じゃあ帰ろう。」


『今日は階下に行かなくなくとも良いのか?』


「うん。たぶんここには戻って来ないんだと思う。」


『・・・。』


「だから、ここでただ待つというのは止める事にする。」


『ほぉ。』


私はキロロに跨りそのまま帰還ワープに入る。

一瞬にして一階層へと戻ってくる。

いつもの様にディックディックの洞窟の入口を通る。


「うん?凛か?今日はもう帰りか?」


「うん。定時確認が終わったから。」


いつもの様に挨拶を交わしてディックディックの洞窟を後にするとそのまま冒険者ギルドディックディック派出所に入る。

いつも通り買取カウンターに行き、ミノタウロスの斧とミノタウロスの二つの角を魔法鞄から引っ張り出してカウンターの上に置く。


「今日はもう上りかい?」


「うん。定時確認が終わったから。」


いつものやり取り、いつもの納品を終えると冒険者ギルドを後にする。

いつも通りに食堂へ入ると、いつも通りの食事を注文し、先に来たスカッシュを一気飲みする。


「ぷはぁ~!うまい!生きてるって感じがするぅ~!」


『それにはアルコールが入っていなかったはずだが?』


「いいの。こういうのは気持ちが大切なの。」


キロロの身体は大き過ぎない為、建物の中に入れる。

だからと言って店の中には中々入れて貰えないのが普通だが、毎日来ている内に入れてもらえる様になった。

認知度が上がった訳だ。


「はい。おまち。」


「ありがとう。スカッシュのお替りも頂戴ね。」


「はいよ。キロロちゃんにもちゃんと用意しているからね。ちょっと待っててよ。」


『感謝する。』


「感謝しますって。」


「お利口さんだね。」


いつもの店員さんがキロロの頭をワシワシ撫でる。


『むぅ。』


不機嫌な声を上げるが、誰も気にしない。

私しかキロロの言葉が分からないからだ。

キロロはサラちゃんと違って生物としての存在値が高くない。

だから、命名した私にしか言葉が通じないのだ。

それに言葉で悪態をついても表情には出さない。

キロロは賢い魔獣なのだ。


「まぁまぁ、そんなに怒りなさんなって。優しさだから。」


ボソッと声をかけて首の下あたりを撫でてやる。


『ぬぅ。まぁ良かろう。』


尻尾をフリフリ機嫌が良くなるキロロを見ながら、今後の事を考える。

幾度となく考えた今後の私の生き方。

サラちゃんが残した言葉が私の頭の中に残っている。


「やっぱり、旅に出ようか?」


『旅か?』


「うん。旅。玲ちゃんを探す旅だね。」


『痕跡も見つからず、どの様な状況なのかもわからないのにか?』


「うん。だってさ。待っているだけじゃ何も変わらないよ?人任せじゃない?」


『ああ。そうだ。』


「なら、自分から手掛かりを求めて旅に出た方が良いじゃん。」


『ふむ。変化を求めるか?』


「そう。昔、パパやママが私に言ってくれた言葉を思い出してね。」


『ほぉ。』


「よし。善は急げっていうし、今から行こう!」


『ちょっと待て。目的地は?』


「先ずは、サラちゃんのお墓だね。」


『ふん。まぁ良いだろう。』


「よし。決まり。」


私とキロロは運ばれてきた食事をかき込むように口に入れて食事を終えた。

いつもの通り、お金を払い店を出る。


「また、来るんだよ。」


「は~い。」


そう言って、私はキロロに乗りディックディックの洞窟前の集落を後にした。

特に挨拶をするわけでもなく、いつも通りの感じで集落から旅立ったのだ。

私の冒険はここから始まる。

ううん。違うね。

私の人生はここから再スタートだ。


第一章はこれにて終了です。

次回から第二章となります。

展開の考察やストックを貯める為に一か月間お休みを頂きます。

よって次回更新は、

一ヶ月間お休みを頂いて、2021年12月1日(水曜日)12時

すいません。

読んで頂いている方、どうぞブックマークをしておいてやってください。

よろしくお願いします。

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