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呪いのG☆D★KILLER ~彼女は彼女の為に。~  作者: ボンバイエ
第一章 見知らぬ人。見知らぬ場所。
3/31

オニギリ。


『もう、大丈夫よ。』


懐かしい声が聞えた気がした。


「えっ?誰?」


あの声はあの子の声。

私は振り返る。

そこに、見えるはずのグリーン色の野人は見えなかった。


長い黒い布。

長い黒い髪。

そこには人が立っていた。


『ブレス・オブ・ファイア』


そこに立つ人が何かを言った瞬間、熱を感じた。とても高温の熱。

それと同時に青い炎が向こうへと流される。


『ギャギャ!!』

『ギエ!!』

『ギョ!』


グリーン色の野人の声?だろうか?聞えた。

クルリとその目の前の人がこちらに振り返った。


全身黒尽くしと出で立ちは、日本人では無いと思わされた。

肌も黒い。黒人?外人さんだろうか?

でも、顔は可愛らしい日本人の様な創りだ。

クリッと大きな瞳で二重瞼。唇はプルンと潤いがあり、肌はきめ細かい。

眉毛は細くすらっとしている。


それよりも、私はこの顔立ちを知っている!

絶対に知っていたハズだ。だけど、思い出せない。


「大丈夫?痛いよね。直ぐに治すね。」


彼女はそう言って、私の足に手をかざす。


『リバース・リゲイン』


ライトグリーンの幾何学模様が彼女の手元に浮かぶ。

そしてそこから暖かい風の様な者が吹き付けると、足に刺さっていたナイフが抜ける。


「つっ!」


傷口が徐々に無くなっていく。

そして綺麗になると痛みは無くなっていた。


「嘘?!」


私はこの現象に驚いていた。


「もう大丈夫。痛みは無くなった?」


「うん。ありがとう。」


優しい顔で私を見る彼女に感謝を述べると、彼女は私を強く抱きしめた。


「ようやく、見つけた。良かった。うぅぅぅわぁ~ん。」


そう言って泣き出してしまった。

私は狼狽し、ただ抱き止める事しか出来なかった。

ただ、不思議と涙が頬を伝う。もらい泣きなのだろうか?



二人が泣き止むまで少し時間を要した。

私達が鳴くのを止めたのは奴だった。


「「グ~。」」


二人の言葉では無い。

二人の腹の虫が鳴いているだけだ。私達の意志では無い。断じて!!


「ふふふ。」

「あははは。」


二人同時に鳴った事で、何かおかしく思えて私は笑ったのだけど、彼女も同じだったみたいだ。恥ずかしいよりオカシイという感情に支配される私達。


「あっ、オニギリがあるんだった。一緒に食べる?」


「オニギリがあるの?」


「うん。」


リュックから取り出したるは、・・・潰れたオニギリだった。


「そ、そんな!」


私がガックリと肩を落とす。

横を見ると、彼女も同じ様に肩を落としていた。


「期待したのに・・・。」


「ごめん。逃げている間に潰れちゃったみたい。」


「仕方ないよ・・・あっそうだ。ちょっと貸して。」


彼女にオニギリを渡す。


『フォーム・リゲイン』


彼女の手に渡ったオニギリの下に幾何学模様が現れて、オニギリをスキャンするように通ると、オニギリが元の形に戻った。


「なにそれ?!」


「魔法。」


「はぁ~?魔法?!」


「そう魔法。私は魔法が使える。」


うむむ。

どう答えたら良いのか分からず、黙っていると、彼女はパクリとオニギリを口に入れてしまった。こっちは悩んでいるというのに。ソーセージマヨはあっという間になくなってしまった。


「私のも治して。」


「良いよ。」


ニコッとして彼女はオニギリを受け取ると先ほどと同じ様に『フォーム・リゲイン』と唱えて治してくれた。


「はい。」


「ありがとう。」


彼女からトリカラマヨ味のオニギリを受け取ると、パクリと口に入れた。


何という事でしょう。

鶏のから揚げは柔らかくジューシ―。口の中に広がる香ばしさ。

そしてマヨネーズがソフトに味を包み際立てさせる。そこにピリッとした辛さのアクセントがたまらない!


おっと、上品に食べあげました。

決してムシャムシャとお行儀悪く食べていません。


少しだけども、お腹を満たした私達。

ここでようやく切り出せた。


「お名前を聞いても良い?」


「あっ。・・・覚えてないの?」


「やっぱり知り合い?」


「うん。」


「ごめん。私、記憶が曖昧なの。人の名前と顔がどうしても思い出せないの。」


「・・・。」


彼女はとても悲しそうな、つらそうな顔になった。

それを見た私の胸も苦しくなった。


「私は、玲奈。皆からは玲ちゃんと呼ばれる。」


「玲奈さん。助けてくれてありがとう。」


「うん。自分の名前は覚えている?」


「ううん。覚えてないの。」


「そう。貴女の名前は凛。凛ちゃんと呼ばれていたわ。」


「そっかぁ。凛かぁ~。」


私にはしっくりこない気がしたが、記憶が無いのだから、当たり前だと思う。

それに、名前が分かっただけでも嬉しい。


「凛ちゃんって呼んでも良いかな?」


「えっ?良いよ。」


「本当?ありがとう。私の事は玲って呼んでね。」


「うん。分かった。」


私達は微笑み合う。

やっぱり名前って良いね。大切だ。


「ちょっと待ってて。」


玲ちゃんはそう言うと先ほどの炎により焦げた場所へと向かう。

何かを拾っている様だ。


「そう言えば、玲ちゃん。さっきのも魔法?」


「うん。そうだよ。」


「日本に魔法使いが居るなんて知らなかったよ~。」


「・・・ここは日本じゃないわ。」


「えっ?」


「日本でもないし、ましてや地球の他の国でもないの。」


「えっと、よくわからないんだけど、何の冗談?」


「冗談じゃないよ。ここは異世界だよ。」


「なんだ、異世界かぁ~。異世界?!」


「そう、ここは魔法がある世界。地球から見たら異世界なのよ。」


ディープインパクト!

私は頭が痛くなってきた。


次回更新は

2021年10月4日12:00

よろしくお願いします。

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