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呪いのG☆D★KILLER ~彼女は彼女の為に。~  作者: ボンバイエ
第一章 見知らぬ人。見知らぬ場所。
28/31

思い出す私。

予定通り更新。


「助かったよ。君が居なかったら危なかった。」


「えっ?いえ。こちらこそありがとうございました。勉強になりました。」


差し出された右手を掴み握手した。

まさかの感謝の言葉に驚いたが反射的に握手をしていた。

よこからハイホーさんが顔を出した。


「本当に助かった。君の魔法の威力は凄いね。」


「そうですか?ビッセルさんには負けますよ。」


ジャックさんも横に来た。


「あの、スラッシュ系の魔法剣は俺にも出来るかな?」


「ジャックさんは双剣で魔法剣を発動させるんですか?」


「難しいかな?」


「いえ。出来るのではないですか?まぁ魔力量や魔法適正も必要かもしれませんけど、適正は絶対ではないですし、そのうちスキルも憶えるかも知れませんし。」


「おぉ。そうだな。やってみるか!」


ビッセルさんもそっと横に来た。


「君の魔法は格別だな。」


「いえいえ。それより最後の魔法、私に教えてくれませんか?」


「いや、難しいモノではないよ。」


「ちょっと。ちょっと。むさ苦しい男どもが清らかな女子にあんまり絡まない!」


「だがよ。」


「凛ちゃんはこっちこっち。」


「えっ?ポーラさん?」


「へへへ。ごめんね。ウチの男どもが。でも本当に助かったわ。さすが“獄炎と氷結の魔女”様の親友ね。凄かったわ。」


「ありがとうございます。」


「ほら。アーチもこっちにおいで。」


「う、うん。その、さっきは本当にごめんなさい。羨ましくて。」


悪意ある文句を言ってきたアーチさんも本気で謝罪してくれている様子だ。


「大丈夫です。謝罪は受け取りました。」


「ほ、本当?良かった。」


安心したのか、アーチさんの顔から険がとれた。


「これから先で縁があったらよろしくね。」


「ええ。よろしくお願いします。」


一緒に戦った事で、お互いに認め合う事が出来た。

そんな感じだろうか。


「ふふふ。良かったわね。」


「うん。これも全部、玲ちゃんのおかげだよ。」


「そんな事ないよ。凛ちゃんが頑張った結果の一つだよ。」


『そうですぞ。凛殿が頑張った結果です。』


「わかった。ありがとう。」


日々の努力が実ったのだと感じた。

やった事に対する結果が出たのだと思ったら、何かが私の中に出てきた。



=====


私の眼の前には男の人が居る。

その人は私の頭を撫でると、私の目線の高さまに自分の目線を合わせて、私を見て言った。


『凛。いいかい。何事もした事の結果は出てくるもんなんだぞ。それは良い事も悪い事も必ず何かしらの結果が出るもんなんだ。今は分からなくてもよく覚えておけよ。』


小さい私には意味が分からなかった。

今も分かったとは言い難い。

けど、一つの結果が出た。

今回の結果は私にとって良い結果だ。


『パパ。凛にそんな難しい事を言ってもわからないわよ。』


『ママ。そんな事はないさ。なぁ?凛。』


『うん。』


そうか、この優しそうな人達は私のパパとママなのか。


=====



「凛ちゃん大丈夫?」


「えっ?うん。大丈夫・・・じゃない。」


「どうしたの?」


「私、パパとママを思い出した。どんな人だったかも。」


「本当?!」


「うん。」


「だから、泣きそうな顔なのね?」


「えっ?私は泣きそうな顔になっている?」


「ええ。」


私は自分の顔をまさぐった。

泣きそうな顔になっているのか。

自覚が無かった。


「でも、良かったわ。思い出す事が出来て。」


「うん。良かった。」


自覚がないままに涙が溢れてくる。

目に涙が溢れ頬を伝った雫はそのまま地面へと落ちる。


「凛ちゃん。」


玲ちゃんが私を抱き締めた。

なぜ涙が出てくるのだろうか?

ただ、私のパパとママを思い出しただけだ。

でも、胸が締め付けられるような感覚を受ける。

そして、涙が溢れてくる。


「何でだろう?涙が止まらないよ。」


私は今の素直な気持ちを玲ちゃんに伝えた。

悲しみを感じていないのに溢れてくる涙と締め付けられる感覚。

理由が分からないと伝えると、玲ちゃんは私を優しい眼差しで見つめる。


「それはね。魂が泣いているのよ。大丈夫。凛ちゃんが忘れている事でも、凛ちゃんの魂が本物だから起きる現象よ。少しずつ色々と思い出したら、きっと分かる。そういう日が来るわ。」


「うん。」


玲ちゃんが言うのだから、そうなるのだろう。

私の頭が覚えていない記憶も、私の魂が覚えているという事なのだろう。

魂が覚えているのなら、少しずつ思い出すのだろう。


『主よ。何やらキナ臭い匂いがしてきましたぞ。』


サラちゃんが忠告をしてきた。

初めての事じゃないだろうか?


「そうね。これはマズいわね。皆さん。とにかくここから出ましょう。良くない事が起きそうな感じがします。」


「良くない事?」


「本当ですか?」


「ええ。だからここから早く動きましょう。」


玲ちゃんは、サラちゃんの忠告を受けて【黄龍の牙】のメンバーに場所移動を提案した。


「では、私達はこの転送装置で一度、帰ります。」


「そうですか。私達は次へ進みます。」


“獄炎と氷結の魔女”様である玲ちゃんの指示に従う様に皆が動き出した。

だが、一足遅かった。


『そんなに急がなくても良いのではないですか?』


私達の頭に直接届く声。


「間に合わなかったか。」


『ふふふ。間に合ってしまいましたねぇ。』


「誰?!」


私の背中に冷たい物が流れる。

手は汗によってびっしょりとなる。


『これはこれは。初めまして。』


「だから!うぐっ?!」


『パチン♪』と指が鳴る音と共に詰問していたアーチさんの声が塞がれる。


『はぁ。煩い虫ですね~。少し黙って貰いましょうね。おっと、うっかり人間的発言をしてしまいました。いけませんねぇ~。』


耳障りな声。

生理的に拒絶感を憶えるその声は不快で溜まらない。

一体、こいつは何者なのだろうか?


次回更新は

明日、2021年10月29日(金曜日)12時

よろしくお願いします。

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