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呪いのG☆D★KILLER ~彼女は彼女の為に。~  作者: ボンバイエ
第一章 見知らぬ人。見知らぬ場所。
22/31

一階から地下一階。

予定通り更新



「凄いね。これ。」


「うん。これは珍しい。」



私達の前には、また壁があった。

洞窟の入口を10メートル進んだ所に設置された壁。

今度の壁は洞窟の穴を塞ぐ形に設置されている。

その中央部には門があり人が二人すれ違える程度にされている。

ここにも門兵が居る。

入口の横には門兵用の休憩室みたいなのも設置されている。


サラちゃんを見てギョッとする守衛さん達の横を二人は冒険者証を提示して入口を入って行く。


「これは“獄炎と氷結の魔女”様。ディックディックの洞窟へようこそ。」


「お勤めご苦労様で~す。」


私はついつい敬礼をしてしまったが、優しい目をされただけだった。

もしかして痛い子に見えたのだろうか?


「もう。馬鹿ね。」


「うぅ。」


玲ちゃんがツッコミを入れてくれた。

しかし返す言葉が見つからず、声が漏れただけになってしまった。

その後もくだらない事を話しながら、進んで行く。

壁はかなり厚く造られていて壁を抜けるのに少し時間が掛かった。


壁を抜けると大きな広間になっており、中央には剣と鎧と盾を持った女性の像が立っていた。

まばらながらも冒険者風の人がウロウロしたり座って休んでいる。

中央にある女性の像の前にも何人かおり待ち合わせをしているのかもしれない。


私達を見て、というかサラちゃんを見てギョッとする人達が多いが、玲ちゃんの姿を見て安堵する感じだ。

“獄炎と氷結の魔女”様が連れている従魔である事は有名なのかもしれない。

私達は立ち止まる事をせず広間から繋がる道へと入って行った。



一階層は『これぞ洞窟です!』って感じの造りになっていた。

ごつごつとした岩肌が露出しており、道はいくつも分岐していた。

ディックディックの洞窟の全体像はまだ解明されていない。

つまり未踏破の洞窟の一つという訳だ。

ただし、踏破されている階層は地下31階層という記録が有り、冒険者ギルドには記録とそこまでの地図が残されている。

地図は閲覧する事も可能だし、コピーを購入する事も出来る。


事前に調べた所によると、ディックディックの洞窟は属性の偏った洞窟では無い。

多種多様な属性の魔物が登場する。

複合型の洞窟なのだ。

そして、一階一階はとても広い。

山一つ分の大きさではなく山脈全体に広がった洞窟なのだと考えられている。

今のところ地下に向かう階段しか発見されておらず、上に向かう道は無いとされている。

逆に、地下31階層まで下っても、まだまだ終わりを感じる事が出来なかったという。


「魔物が出ないね。」


「そうね。冒険者が多いから狩られているのかもね。再ポップするのには時間も掛るみたいだし、同業者も結構いるからね。」


私達が通っている道は地下一階へと最短で進める道だ。

その分、同業者も多く居るという訳だ。

地下一階で出てくる魔物はゴブリンが中心となる下級中の下級モンスターだ。

だから、初心者や駆け出しやソロなど人が多く居る。

さらに、冒険者ギルドによる照明の設置がされている階でもあるから視界は明るい。

魔物にとっては地獄の階かもしれないな。

それでも人間にとっては洞窟での間引きは絶対だ。

間引きをして少しでも減らす行為をしなければ、魔物が地上へと侵攻を始める。

そうなると、大きな損害が出てしまうからだ。

魔物大量発生による“スタンピート”が発生するのは最悪の事態だ。



私達は一階を素通りする形で地下一階へと足を進めた。

一階から地下一階へは階段が設置されているので歩いて降りる。

段数は100キッカリ。

数えた人がいるらしい。

洞窟内の情報は何でもお金になるから、競って情報提供しているのが現状だ。


洞窟内は真っ暗で、今は玲ちゃんの“ライト”という照明代わりになる魔法の光で照らして歩いている。


「人が多いね。」


「そうね。まぁ、有名な洞窟はどこもこんなもんよ。」


階段にも人がいる。

そういえば、ミスティアのメンバーもディックディックの洞窟に足を運び、レベルアップや戦い方の練習をしたと言っていた。

人間優位の階層は練習にもってこいなのかもしれないな。


冒険者としての稼ぎ方の基本は依頼を受けて達成するというモノだ。

狩りをして魔物を売る事も稼げるが、冒険者ランクは上がらない。

あくまでも、依頼をこなしてこそ冒険者は認められるからだ。

討伐依頼もあるが、それも依頼という形で初めてランクに影響を与える。

冒険者ギルドに貢献したという事になるからだ。

しかし、強さが全く関係ないのかと言えばそうではない。

ランクアップには試験がある。

一定の強さがなければ高ランク依頼を達成できないからだ。

結局、この世界は魔物に関わる事が普通であり多くを占める。

そんな世界だから貢献にも強さが必要となるという訳だ。


「地下一階も一階と情報通り変わらないね。」


「そうね。このまま人が少なくなる地下五階以下を目指しましょう。」


私達は玲ちゃんの意見の通りに人が少なくなる階層を目指す事にして、足早に次の階層を目指した最短ルートを選択した。

やはり地下一階も人が多い為なのか、魔物に遭遇する事はなく通り抜けるだけになった。

遠くで遭遇している様子はあるが、私達の所には来なかった。


ちなみに魔物を横取りはルール違反であり、恨みを買ってしまう行為なので、戦闘をしている所に出くわすと、邪魔にならないように横を通り過ぎる。

冒険者のマナーだ。

魔物という人類の敵の前にそんな情けないルールを作らなければいけない人類ってどうなんだろう?って思う。


「“獄炎と氷結の魔女”様でも横取りは許しませんよ?」


「わかっている。横を抜けさせてもらうだけよ。いくわよ。」


私達はサラちゃんに乗り一瞬にして横を過ぎ去る。

星にとっては魔物より人類の方が害なのかもしれない。

よくある物語の一つの考えだけど、こういう事をみるとやっぱそう思う。


「まったく。」


玲ちゃんの横顔が悲しそうな顔になる。


『無礼な人間が多いいですな。』


サラちゃんも嫌気がさしている感じだ。

それでも威嚇の一つもしないサラちゃんは利口なのだろう。

もしかすると、相手にもしていない可能性もあるけど。


そんなこんなで私達は地下に系へと続く階段に足を踏み入れた。


次回更新は

明日、2021年10月23日(土曜日)12時

よろしくお願いいたします。

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