初の酒場。
予定通り更新。
「「「「「「カンパ~イ!」」」」」」
ワイワイガヤガヤとしている酒場に初めて訪れた。
目の前にはミンティアのメンバーがいて隣には玲ちゃんとミリュイさんがいる。
「くぅ~最高!」
「「「美味しい。」」」
この世界は16歳で大人と同じ扱いをされるらしい。
とはいえ、日本の知識がある私は飲んでない。
果汁の炭酸割りを飲んでいる。
『ど~ん』とテーブル狭しと、並べられた料理も美味しい。
「料理も美味しい。」
「うん。肉汁が、じゅわっと広がって・・・ヤバいね。」
「こっちのも美味しいよ。チーズだったっけ?これが美味しさを引き立たせる。」
「サラダも新鮮ですし、言う事ありません!」
興奮気味で食べて飲むミンティアのメンバーの勢いも凄い。
ドンドン無くなっていく。
女子会って、とんでもない話とか出てきたりするけど、やっぱり美味しい食べ物の前には同じ様に感想が先に出る。
元F級冒険者パーティのミンティアのメンバーは全員が駆け出し冒険者で、田舎の村から一緒に出てきたメンバーで構成されている。
そう、今回の件で元F級になったのだ。
今はE級冒険者パーティで個人でも皆がE級になった。
かくいう私もE級に昇進した。
「でも、あれだよね。私達は玲さんに連れて行って貰っただけで何も出来てないよね?」
「そうそう。何か申し訳ないなぁ~って思っています。」
「ふふふ。そんな事は気にしなくて大丈夫よ。その為にギルド職員を連れて行った訳だし。」
「そうよ。その職員であるこの私がE級でもあなた達なら問題ないと思ったのだから。」
「そこは感謝しかないけど、不安でもあるんです。」
「そうそう。私達がやっていけるのかっていう思いもあるのは事実です。」
「そうかもしれないけど、それでもA級冒険者“獄炎と氷結の魔女”と一緒に行動した経験は今後に活かせるハズよ。それに協力があったとは言え、ゴブリンの集落を殲滅したし、ヂロン盗賊団を壊滅させたのは間違いないじゃない。だから自信を持ちなさい。」
「そうですね。認められたからこそですもんね。」
「そういう事。結果を出せば良いのよ。」
「「「「はい!」」」」
ミンティアのメンバーの気持ちはよく分かる。
私も玲ちゃんに頼りっぱなしだし、訓練を見てもらっているから。
『今回は、捕虜がいたから無力化したけど、本来なら殺しても問題ない。次があれば対人戦の経験を積んでもらうから、心の準備をしておいてね。』
昨日の寝る前に玲ちゃんが私にそう言った。
今回の結果、ヂロン盗賊団の全員は全て犯罪奴隷になった。
総勢18名の犯罪奴隷は近いうちに鉱山に送られる事になっている。
彼等が貯め込んでいた財産は全てお金に換算されて冒険者ギルドを通して私達に支払われる。
その内、馬車と馬の一式を彼女達ミンティアが貰い受ける事になった。
一番元気のいい馬と新しそうな馬車を選んでいた。
御者がいなくても馬の扱いが上手だったのは、地元で扱っていたそうだ。
「あの人達は大丈夫でしょうか?」
「どうでしょう。かなり深い心の傷を負ってしまっていましたから、心が壊れてしまっているかも知れませんね。」
保護した三人の女性はそれぞれ強姦されるという酷い経験をしている。
この後の人生に幸せを求める事が難しいかもしれない。
特に足の筋を斬られて動けなくなっていた女性は私に『殺して』と懇願したほどだ。
「元気そうに見えてもつらいよね。」
「私なら耐えれそうにないよ。」
「それでも生きていかなきゃ幸せは来ない。」
「そうなんだけどさ。少なくとも男性恐怖症になりそうかも。」
強姦する男が悪い事は誰もが知っている事だ。
けど、強姦された方まで色々言われる事がある。
事実、日本では『あんたが誘ったんだろ?』『売女!けがわらしい!!』とか意味の分からない事を言って貶める奴がいる。
たしかに体を汚されたのかもしれない。
だけど自ら望んでその状況に陥った訳じゃない。
他人の悪意や欲望によって落とされたに過ぎない。
「現実的に考えると、娼婦か俗世を捨てるしかないかもしれませんね。」
「うそ?!」
「本当よ。厳しいのはどこも一緒よ。浮気をした女より厳しい現実がまっているのよ。」
「えっ?なんで?浮気は無理矢理じゃないでしょ?でも強姦は無理矢理なんだよ?!」
「ええ。分かっている。分かっているけど、そういうもんなのよ。」
「そんな・・・。」
「だからって全員が全員、幸せになれないって訳じゃないのよ。」
理不尽はどこにでもある。
そう皆が苦い顔をして教えてくれた。
納得は出来なかった。
納得は出来なかったけど、そういう現実があるという事を知った。
これは日本だろうが異世界だろうが関係ない。
この世界にもある理不尽だと知ったのだ。
「はいはい。そういう暗い話はここまで。今は今を楽しみましょう。」
「そ、そうですね。ごめんなさい。」
「いや、こっちこそ悪い。」
「仕方ないわね。平常心。」
玲ちゃんが魔法を使った。
そこで猛っていた心は平穏を取り戻した。
「さぁ、ドンドン飲んで騒いじゃおう。」
「マスター!こっちに果樹酒を5個追加!果樹炭酸水を二つね!!」
「はいよ!」
私の心には玲ちゃんが言った言葉が蘇る。
『凛ちゃん。強くならないといけないの。跳ね返す事が出来る程の力を持っておかないといけないの。だから、凛ちゃん。強くなってね。』
私は強くなろう。
一つでも多く跳ね返せる力を手に入れよう。
そう強く心に誓った。
「玲ちゃん。デザート食べたいね。」
「そうね。とびっきりのを用意しましょう。」
「うん。」
夜は静かに少しだけ賑やかに過ぎていった。
次回更新は
明日、2021年10月19日(火曜日)12時
よろしくお願いします。




