ヂロン盗賊団の討伐。 その2
予定通り更新。
「う~ん。囚われている人がいるみたいね。」
「あれ?あの女性は足を怪我してない?」
「あ~。性処理に使われているっぽいわね。」
「えっ?!それって?!」
「そうよ。この世界というか、何処の世界でも屑な奴は平気でそういう事をするのよ。」
私は驚きと共に恐ろしさが沸き上がってきた。
強姦という卑劣な行為が、普通に起こる。
少し治安が悪いだけで、起こり得る事件。
治安が良いとされる日本でさえそんな事件が起こる。
人間が男と女しか存在しないからこそ起こる悲劇。
男が快楽を得る為に行なう非道な行為。
やっぱり神様は慈悲なんて持ってない。
・・・あれ?“やっぱり“って何だろう?
私は私が思った事の意味が分からなかった。
前に一度同じ事を思った事があったのだろうか?
なんか、頭の奥がズキズキする。
「凛ちゃん大丈夫?」
「うん。平気だけど頭が痛い。」
「快癒。どうまだ痛む?少しは落ち着いた?」
「うん。ありがとう。」
本当はまだズキズキする。
これは傷では無いからなのだろうか?
治りそうもない。
だけど、心配させるのは良くない。
玲ちゃんの心配そうな顔はみたくない。
「それより、どうするの?」
「ふふふ。死ぬよりキツイ思いをさせるに決まっているじゃない。」
眼が怖い。
人ってこんなにも器用な表情が出来るんだなって思う。
頬が上がっていて笑顔なハズなのに、眼が怒っている。
「そうそう。“右の頬を打たれたら、左の頬を差し出せ“って言葉あったじゃない。あれ嘘よ。虐待したい権力者が広めた糞な話よ。”目には目を歯には歯を“の方がまだマシね。やり返す事が出来なければ、いつか殺されるわ。」
「そうなの?」
「そうよ。日本は、地球は平和だっただけよ。人間なんて自分が可愛い生き物なのよ。だから平気で差別するし、平気で虐めをする。そもそも人間は自分達と同じ所がないとダメなのよ。自分達以下じゃないと認めない。自分より優れているのは怖いのよ。自分が一番下になるのが嫌だから。自分が優れていると誇示したいから。みんな“あいつは馬鹿な奴だ”って思っているのよ。それの最たる行為を平然とおこなえる様な屑は何処にでもいる。だから、凛ちゃん。強くならないといけないの。跳ね返す事が出来る程の力を持っておかないといけないの。だから、凛ちゃん。強くなってね。」
「う、うん。」
少し気圧された。
玲ちゃんが思いを告げるのは珍しい。
もちろん、どうでも良い様な事では冗談めかして言う事はこれまでにもあったけど、本気の思いは無かった。
でも、そうか。
やっぱ、怒っているんだな。
私よりも、この世界の事を知っているのだろうし、嫌な思いをしたのかもしれない。
そう思うと、驚きと恐ろしさが、沸々とした怒りに塗り替えられていった。
ただの個人の勝手な思い込みによる暴力に屈するのは嫌だ。
私は何も出来ない女ではなくなった。
厳しい訓練をして自分を鍛えている。
私にも出来る事がある筈だ。
同じ女として許せない。
屑な男には鉄槌を!
「うん。わかった。私もっと強くなるよ。」
「そう、その意気よ。では手始めに、あいつ等を殲滅しよう。腕や足の一本や二本失っても生きていけるよ。」
「玲ちゃんって、そんなに怖い人だったっけ?」
「あれ?素がでちゃったかな?」
「それが素なの?!やっぱ鬼・・・。」
「な・あ・に?」
「いえ。何でもありません。」
その恐ろしい顔をこちらに向けないでください。
お願いします。
「どうしたんですか?」
救世主が現れる。
ミンティアのメンバーが到着した。
「まぁ、良いわ。行くわよ。」
「「「「「はい。」」」」」
私達は鬼軍曹・・・じゃなくって、A級冒険者“獄炎と氷結の魔女”玲ちゃんの指揮の元、進んでいく。
「うん?何だおめぇら?」
「おい!冒険者じゃねぇか?!」
「何?!」
「麻痺。」
「うぅ!」
「静寂。」
「・・・。」
「臭いわね。消臭。」
身体麻痺と消音に消臭。
圧倒的実力者である玲ちゃんの前では大人の男でもこうなる。
手早く入口にいた男達三人を無力化した。
すぐさま、ミンティアのメンバーが縄で縛りあげる。
ミンティアのメンバーは私よりも縄の扱いが下手だ。
駆け出しというのは間違いないみたい。
そこそこの大きさの横穴の洞窟を最奥まで歩いて進んだ。
玲ちゃんの魔法が効いていた様で誰にも襲撃される事なく捕縛を繰り返した。
その中にはこの盗賊団のヂロルもいた。
盗賊団というよりも山賊みたいだ。
どいつも汚らしい格好をしていてみすぼらしかった。
最奥には捜索で見えていた通り、女性が三人いた。
私達を見てホッとした様子を見せた。
「私達は助かったのね・・・。」
「はい。」
「殺してちょうだい。」
「えっ?」
三人の女性の中で足が不自由になっている女性が感情の無くなった声と表情で言った。
「な「凛ちゃん。ダメよ。」??」
何故?と聞こうとしたら玲ちゃんに止められた。
「睡眠。後の二人は大丈夫かしら?」
「はい。何とか。」
「では、街まで戻りましょう。サラ。お願いね。」
『ご主人様。お任せください。』
都合が良く数台の馬車があり馬もあった。
どれもボロボロだったけど、奴らの戦利品だろう。
裏口というか別に出入りできる場所がありそこに置かれていた。
盗賊全員を荷物の様に荷台に入れた。そしてそこに玲ちゃんが魔法をかけて出入りが出来ないようにした。
馬車の二台をミンティアと保護した人を乗せた。
先頭にサラちゃんと私達二人。
馬車は中団で後方にサラちゃんの眷族達。
帰りはスピードを出せなかったから門が閉まる時間を過ぎてしまった。
だから街の入り口まで来て門番に事情を話して緊急的処置で対応してもらった。
“獄炎と氷結の魔女”という異名が役に立ったらしい。
直ぐに対応して貰えたから、私達は宿に戻る事が出来て明日の朝ギルドに行けば良い事になった。
保護した女性三名は冒険者ギルドで一夜を過ごすらしい。
ヂロン盗賊団は騎士団に連れて行かれて牢屋行きだ。
ミンティアとの打ち上げは明日にする事になって、今日は解散した。
本当に疲れた。
ちなみに、玲ちゃんがあの盗賊団のメンバーに惨い事をした事は黙っている。
ヂロン盗賊団のメンバーも何故か誰も言わなかった。
『言ったら分かってるわよね?』の言葉と共に悪魔の様な笑顔を見せていたからかもしれない。
私も墓場まで持っていかなければならないだろう。
ちなみにそれらをミンティアのメンバーは見ていない。
魔法って恐ろしい・・・いや、この場合は・・・うん、忘れよう。
次回更新は
明日、2021年10月18日(月曜日)12時
よろしくお願いします。




