第8話, 魔王城へ
さあ出発だ!
デルモースを倒した事で、レベルが2段階上がった。
しかし、デルモースの強さランクはD。
それでも強敵ではあるけど、魔族四天王にしては低い。
実は、魔族の力は魔王の復活度と連動していて
魔王は封印こそ解けたものの、まだ体が完全復活できてないのだ。
まあ‥それにしたって、言葉責めでショック死はないよな……
尚、今回の功績で父上がなぜか、陞爵してバルタム子爵になった。
解せぬ。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
古文書を調べた。
その間、手持ち無沙汰な勇者ソータは、王女とイチャイチャしている。
解せぬ。
故郷の村に幼馴染の彼女いたよな‥
ビビアンさんには宮廷魔術師達が群がっている。
宮廷魔術師にとって、賢者であるビビアンさんは、崇拝の対象らしく
涙する爺さんとか居て、ビビアンさんが困惑していたのは、
ちょっと面白かった。
ララは横に居て、ぼくの邪魔をしてくろ。
構って欲しいんだろう。 こういうとこは猫みたいだ。
古文書の内容は、ゲームより詳細だった。
何と魔王は、元々人間だった。
ただ、彼には多くの魔物を従わせる「テイム」のスキルがあった。
その力で軍人として出世していったが、
スキルが進化し、自ら魔物の力が使えるようになると
だんだん人間ではいられなくなり、
人類と敵対するようになった。
彼は、魔人となり、魔王となったのだ。
魔王にも歴史ありだ。
ふむ‥他人事じゃないなあ……
魔王の居場所もわかった。
まあ、ゲームの知識で元々知っていたんだけど。
魔王の居城は、海の彼方の魔王島にある。
船で行くのは、事実上不可能で、ゲームではその方法を探して
世界中を冒険することになる。
勿論、ぼくはその方法をあらかじめ知っている。
なのでシナリオの順番をすっ飛ばして
いきなり乗り込もうと思う。
魔王を倒すには、ゲームではレベル35は欲しいところ。
安全に勝つには40は欲しい。
但しそれは、魔王が完全復活していた場合だ。
ゲームでは、シナリオをどんなに早く進めても
魔王の元にたどり着いくタイミングで、丁度魔王が完全復活する。
インチキだ。
だが、現実ではそんなご都合展開ありえない。
魔族デルモースの強さの状態からも、まだ間に合いそうだ。
何も強さSSを相手にする必要はない。
と言うのは‥レベルを上げるのは、40なんてなる前に頭打ちになりそうなのだ。
ゲームでは、勇者のレベルが上がると、出現する魔物のグレードも何故か上がったので
レベル上げが、比較的スムーズに出来た。
現実はそうはいかない。
下位の魔物ほど数は多く、上位の魔物ほど少ない。
レベルアップに必要な経験値は、上がるほど増えるので
レベルアップのスピードはどんどん鈍化する。
今はまだレベルは順調に上がるが、たぶん早い段階で頭打ちになる。
だったら、賭けにはなるが、完全復活前の魔王を倒してしまおうという訳だ。
魔王城へ行くには、「魔空船」という空飛ぶ船が必要だ。
ゲルーという国の遺跡にある。
あと、動かすには、魔王の名前が必要だ。
魔王は名前を隠している。
知っているのは、当時から生きている「女帝竜グララ」だけだ。
グララは、魔王と人間の争いには、中立の立場を取っているので、
聞き出すには、クエストを受けることになる。
ま、名前知ってるんだけどね。 散々連呼したし。
中立のはずの「女帝竜」の娘が勇者パーティーに加わってるのは
不味いかも知れない。
グララには合わないに越したことはないだろう。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
出発の際、ちょっと揉めた。
国王が、兵士を同行させたがったんんだ。
邪魔なだけだから、断ったよ。
ダンをぼくの代わりにパーティーに入れても、よかったんだけど。
ぼくは、ナビ役でレベルあまり関係ないからね。
でも、ソータの反対で却下になった。
ボコられたの根に持ってたんだろうか?
後、勇者ソータと王女の婚約が決まったよ。
王家としても勇者を取り込みたかったんだろうな。
若いし2枚目だし勇者だし性格もいいから、王女にしても
優良物件だ。
軽率だよなあ‥
勇者の力は強大だから、王族に簡単に取り込まれるのは
マズいかも知れないのに。
幼馴染の彼女、どうする気だろう?
ソータの評価が少し下がったよ。
マ、いいか。知ったことじゃない。
とっとと魔王倒して、終わらせてしまおう。
次回、早くも最終決戦。