誕生日の君へ
今日は君がいなくなって9年目の君の誕生日だ。
僕は君の誕生日にはいつも1本の花を贈っていた。僕の家が花農家だから、お金がかからないプレゼントで、それでも君は嬉しそうにしていたね。枯れる前に押し花にして大切にしてくれていた。
毎度同じものをもらってよく喜ぶなと思っていたよ。
そんな君はもうここにはいない。若い身空でこの土地を飛び出していった。僕はそんな君の背中を凄いと思いながら、見守っていた。
君は今、何をしてるのかな・・・。
君がいなくなってからも時間は平穏に流れ続けて、この町も特に変わらない。いや、もしかしたら変わってるのかもしれないね。僕じゃ気付けないだけで。
僕は花農家を継いだよ。長男だし、他の兄弟姉妹はやりたいことがあるらしいから。僕だけ、特に何も夢はなかった。
君がいなくなってから僕は毎年、君の誕生日にいつもあげていた花の苗を君との想い出の場所に植えてる。君がいつ戻ってくるか分からないけれど、花畑ができて欲しくはないな。
遠い場所から祈ってるよ。君の幸せを。
いつもあげていた花。ローダンセ。花言葉は・・・
「変わらぬ想い。終わりのない友情。」
誕生日おめでとう、僕の大切な人。
さて、短編第2段!
でも、これも初製作短編ではないんですね~。すみません(笑)
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ありがとうございました!