表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
眠り剣士  作者: 守 秀斗
14/14

最終話:気分爽快な俺

 ボリスとスヴェトラーナが退院したが、まだ本調子じゃない。

 宿屋の俺が使っていた部屋のベッドで二人とも寝ている。

 俺は長椅子で寝ることにした。

 

 食料を買いに外に出る。

 そこに、盗賊の集団が現れた。

 この前の連中がまた復讐に来たのか。

 百人はいる。

 絶体絶命だ。


 マリアも馬に乗ってやってきた。

「この宿屋にいるボリスとスヴェトラーナを殺して」とボスに依頼している。


 そのあと、俺の方を指さして、ニヤつきながら、

「あと、この貧相な不能野郎もついでに」と言いやがった。

 盗賊が全員、大笑いしやがった。


 兄貴とスヴェトラーナを殺させるわけにはいかん。

 大切な人たちだ。

 たとえ鈍感な人たちでも。


 それに正直、頭にきたぞ。

 大勢の前で不能野郎と言いやがって。


 俺は激怒した。

 やけっぱちになった。


 いきなり、先頭のボスに襲いかかり、首を斬り飛ばす。

 ボスの首から噴水のように血が噴出した。

 茫然とする部下たち。


 残りの奴も片っ端から、切り殺す。

 百人全員の首を斬ってやった。

 ふう、疲れた。


 あれ、おれ強いじゃん。

 起きているのに。

 なぜだ。


 そう、これをヤケクソ火事場の馬鹿力理論と呼ぶとするか。

 しかし、百人殺したんで、全身、返り血でぐしょ濡れだ。

 

 すると、マリアが血まみれの俺に近づいて来た。

「ワイルドで素敵。やっぱりあなたが最高」

「よりを戻したいのか」

「ええ」淫靡な目つきのマリア。


「俺に殺されてもいいのか」

「愛する人に殺されるなんて、ロマンチック」

「あっそう」


 俺はマリアのあごにげんこつを一発食らわした。

 女を殴ったのは初めてだな。


 斜面をゴロゴロ転がり落ちて、マリアは泥の川に落ちた。

 せいせいした。

 ザマーミロ!


「ふざけんな、このED野郎!」とマリアが川から上がって、泥だらけで叫んでいる。

 不能かどうかなんて、そんなこと、もうどうでもいい。

「うるせー! クソ女! いかれ女! 変態女! お前なんて殺す価値もねーよ!」


 わかったぞ! 強くなるとは、他人に堂々と怒ることができることだ。

 正当な怒りこそ、人生に必要だ!


「女なんかいらねーよ! 鬱陶しいだけだぜ! どっか行け!」

 気が付くと、大声も出せるし、どもってもいないぞ。 

 俺は一人で生きていけるぜ!

 オレスゲー!

 オレツエー!


 山に向かって大声で叫ぶ。

「ヤッホー!」

 気分爽快!


(終)

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ