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昼下がり

作者: 百合茶


ねぇ、今日は寒いね


と、君から受け取る


缶コーヒー


冷えた指に熱がじりじり




太陽は出ているけど


暖めるには控えめ過ぎるね


木の葉を巻き上げる北風が


自然と僕らを近付ける




冬の公園


昼下がりのベンチ


誰もいない風の強い午後




ねぇ、キスしよう?




口に出す前に重ねよう


コーヒーの香りが心地いい


温かいね


昼下がりのキス




ねぇ、今日はどうしたの


小さく縮こまる


君に問う


冷えた指で君は答えた




太陽は出ているけど


暖めるには控えめ過ぎるね


木の葉を巻き上げる北風が


自然と僕らを近付ける




冬の公園


昼下がりのベンチ


誰もいない風の強い午後




ねぇ、寒いよ




君が言い出す前に重ねよう


かかる吐息が心地いい


温かいね


昼下がりのキス




まだ言ってなかったね


この季節が幸せなんだ


君は北風が嫌いと言うけれど


寒がりな君が大好きだよ


そっと自然に寄り添える




淡い日差し


緩やかな時間


誰からともなく


昼下がりのキス





**********


「ねぇ、何考えてるの?」

「何にも考えてないよ。」

「それ、公園の写真?」

「そう。冬の公園。このベンチ、分かる?」

「もたれるとミシミシ軋む、あのベンチ?…でも、白黒写真じゃ分かりにくいじゃん。」

「そう。上手く焼けてるだろ?」

「そんな事より、この部屋お酢くさいよ。」

「換気扇回してるけどなぁ。…いいよ、窓開けて。」

「え〜、寒くなっちゃうよ。」

「仕方ないだろ?冬なんだから。」

「写真飛ばない?」

「飛ばない飛ばない。」

「寒くならない?」

「ならない、ならない。なぁ、こっちにおいで…」




キスしよう




**********


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