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津倉佐々美、異世界との接点の成り立ちを語ってもいいかな?


「お嬢ちゃん、何でここに来たん?」


「フィールドワーク…です」


「なんや、そのフィールドワークってやつは」

デブ猫〈ショコラ〉は歩みを止め怪訝そうな表情でこちらを振り返った。


「フィールドワークっというのは…」

正確には異世界フィールドワークだった。

津倉佐々美は今一度、異世界に来た経緯を思い出そうとしていた。


津倉佐々美、20歳、栄華繁栄大学生、文学部所属。

栄華繁栄大学の文学部を志望したのは異世界が絡んでいた。

津倉佐々美が高校に入る頃に、人類は突然異世界への扉を開くことに成功した。

仮想通貨を掘り起こすデータマイニングを進めている過程で誤って電脳空間の中に異世界宇宙とのトンネルを掘り起こしてしまったのだ。


軍事用の無人機による偵察活動の結果、トンネルの先の異世界宇宙にはたくさんの異世界が存在しているのがわかってきた。

その数はざっと千を超えるほどだった。


それぞれの異世界は小さな村くらいの広さしかないものから、惑星レベルの大きさを誇るものまで規模も多様なものになっていた。

そして、それぞれに固有の文化があることもわかってきた。


そのうち、今度は人間が直接乗り込んで積極的な探索が開始された。

その過程で問題になってきたのが、異世界の文化の解釈であった。

探索の中心となっていたコンピュータエンジニアや軍人では、その文化をうまく解釈し体系化することが難しかったのだ。


そこで大学の文学部の中に「異世界文化論」という新しい分野が誕生した。

文化の見地から異世界を解釈する役割を担うための新しい学問が創出されたのだ。

世界中の大学がこぞって「異世界文化論」に傾倒した。


「異世界文化論」は異世界開拓に非常に必要な学問となったため、就職にも有利になり学生にとっても文学部は有望な学部へと変身していった。


津倉佐々美は文学部にも「異世界文化論」にもそれほど興味はなかったが、就職に有利、給料ガッポガッポという将来性に惹かれ、文学部への進学を決意したのであった。


「ふーん、なんかようわからんけど、俺らの世界とお嬢ちゃんの世界がくっついて、お嬢ちゃんは研究のためにここに来ることになったんやな」

津倉佐々美の独り言のような経緯の説明にデブ猫〈ショコラ〉が答えた。


「異世界フィールドワークっていうんですけど、実際に異世界に行って体験して、その土地の文化や風習を知るという活動なんです」


でも、大学に入学した時点ではまだ津倉佐々美は異世界に来るつもりも決心もついていなかった。



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