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津倉佐々美、異世界に行ってもいいかな?


「チクっとしますけど大丈夫ですか?」頭の上から女の人の声が聞こえる。


なんだ、そのチクっとするというのは?注射でも打つ?なんだかお姉さま調の声色だ。

身構えてみたけど結局チクっとすることはなくて、吸い込む空気がヒリヒリするくらいで肩透かしな感じだった。


「えーっと、津倉佐々美さん、20歳、栄華繁栄大学生、文学部所属、フィールドワークのために異世界ポイントXA21に転送…間違いないですか?」


暗い部屋の中に津倉佐々美はやけに内部だけ明るい白いカプセル状の装置の中に横たわっていた。

津倉佐々美の周りにも同じカプセルが並んでいて人影が横たわっている。

そんなにSF映画は観る方じゃないけど、たしかエイリアンかなんかが出てくるような作品にこんなカプセルが出てきたような気がするような、しないような…


そんなどうでもいいことを考えながら津倉佐々美は「…はい」と短く答えた。


だいたい映画で観るときにはこういうカプセル装置を人間の背丈くらいから見たような構図しか映っていなかったはず……カプセルの中から見上げてみると「見知らぬ天井」ならぬ真っ暗な天井しか見えないものなんだなぁなんてだらだらとどうでもいい思考の続きが始まる。


いやいや、ちょっと待て!


このままだと本当に異世界に行ってしまうぞ!津倉佐々美!

津倉佐々美はふと我に返り、パッと目を見開いた。


「えーっと、ちょっとスイマセン。ワタクシ予定が…」


「はぁ?」またまたお姉さま調の声。

しかし今度はあきらかに蔑んだような冷たい口調だった。


「まぁそう、いまさらなんですけど…そ、そうなんです。バイトなんです。いやー今人出が足りなくて『君が来てくれなくちゃお店がつぶれちゃうよ~』って店長からも言われていて。ほらスケジュール帳にもこのあたりかなって丸してあるし」津倉佐々美はエアー手帳をパラパラめくる素振りをしてアハハ…と力弱く笑った。


「ゴホン」とお姉さま調の咳払いだけが聞こえる。


アハハ……やっぱりだめか。


「あっ、そうだ!昨日おじいちゃん亡くなって、今日お葬式なの忘れ…」

津倉佐々美が言いかけたときに、突然カプセル内のブルーの光の光量が目も開けられなくなるくらいになった。


「それじゃ、射出します!行ってもいいかな?」


やけにハツラツとした声にお姉さま調の声に


「え、あっ、いいとも」ついついつられて答えてしまった。


いやいや、ちょっと待って…ほんとに異世界に行ってもいいのかな?もしかして…


「!」


突然、そんな思考を断絶するかのように強烈なスピード感が躰をすり抜けていった。津倉佐々美は声にならない声で絶叫した。


…あ、…ああぁ…あ~


津倉佐々美、異世界に行ってもいいかな?

ほんとうに?




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