第9話 おっさん刑事、聞き込みに走り回る
セリフばっかりな小説ですいません、文章力の無さゆえにございますm(__)m
「魔王について聞きたいんだけど詳しい奴とか知らないか?」
方針会議の翌日、俺は酒場にきてマスターに尋ねていた。
「魔王に滅ぼされた国の兵士や、召喚者をドラール王国が集めて雇い入れてるって噂だからドラールへ行けば話は聞けるかもな」
「へぇ〜、でそのドラール王国ってどこにあるの?」
「西の砂漠を越えた向こうだ」
砂漠か〜、俺暑いの苦手なんだよな〜。
「ところでオヤジさん、この魚ちょっと味見してみないか?」
俺は用意していた焼いた魚の燻製を、毒がない事をアピールするために先に半分食べてみせてから酒場のオヤジに勧めた。
「おお!これは旨いな! 俺は魚はあんまり好きじゃないんだがこれは旨い」
「あったり前よ、なんてったってミルム聖堂のクラウド様直々に引き合いが掛かる1品だぜ」
「ほぅ。あのクラウド様が、まぁこの味なら納得だな」
人間こういう話にはすぐ影響されるからな、嘘ではないしね。
「どうだいこれを今30匹持ってるんだ、俺達は魔王の弱点を探しているんだが協力して情報を集めてくれるならこれを今タダでやる」
「ほんとか? しかも先に物を渡して?」
「ああ、商売は信頼関係が大切だ。心配しなくても後から難癖つけて金払えとか言わねーから安心してくれ」
「あっはっは、気に入ったこのゴルザ。この話請け負った! おれも昔は冒険者だったんだ、知り合いに聞いといてやるよ」
「ありがとう。俺はフミタロウ、そこの角の宿屋にいるからなにかわかったら知らせてくれ」
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宿屋に戻ってくると、宿泊客から情報を集めていたサンキチくんとミルキーちゃんに合流した。
「とりあえず酒場のオヤジには話を通してきた、そっちは?」
「結構魔王が暴れてる地域がここから遠いらしくて特に新しい情報は何も………」
「そっか〜。たしか、今回の魔王騒動の元々は封印されてたなんかの力をよみがえらせたんだよな?」
「たしか死の沼の災厄、いにしえの邪な蛇の精霊でしたね」
サンキチくん中々の記憶力である、助かるわまじで。
「その蛇は、どうやって封印されたんでしょうか?」
「その情報を知りたいな、誰に聞いたらわかるんだろ?」
「研究機関とか大学の先生とかはさすがに、この世界にはないでしょうね」
日本では伝説とか伝承とか古文書とかを専門に研究してくれる人がいるから、俺達は簡単にまとまった歴史を学ぶ事ができたのだが、この世界ではそれを知るには俺達自身が集めないとダメなのかもしれない。
しかし、のんびり情報集めてるうちに魔王に滅ぼされそうだからなんとかそういう人を見つけたいところである。
「この世界には賢者とかいないんですかね?」
「サンキチくん、それだよ! きっといるんじゃね?1200歳位の」
「スゲーじいさんですね」
「勝手なイメージだけどね」
「クラウドさんならそういう話知ってそうじゃない?」
という訳で、サンキチくんとミルキーちゃんはクラウドさんに聞きこみに、俺はタイラーさんのところで商人関係から情報集めにいく事になって再び別行動に。
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「すいませんクラウドさん、お忙しい所お邪魔してしまって」
ミルキーちゃんとサンキチくんが聖堂を尋ねると、クラウドさんがすぐに対応してくれた。
「いえいえ全然構いませんよ、どうされました?」
ミルキーちゃんが説明すると、
「なるほど、邪な蛇の精霊がどうやって封印されたのか、その方法ですか………、英雄ロシナンテの冒険くらいなら知っていますが、おとぎ話ですしそれ以上の内容は」
「英雄ロシナンテ?」
「ミルキー様は召喚者でしたね、西の諸国に伝わるおとぎ話ですよ」
クラウドさんが説明してくれた英雄ロシナンテの冒険の話はこうだった。
その昔、神が人を作って間もなき頃、人間は悪い精霊達に苦しめられていた。
穀物や家畜に病気をもたらす双頭の大烏。
人に争いを囁きそそのかす3つ目の猿。
死者を操り死を運ぶ、毒の蛇。
この三つの悪しき精霊をロシナンテが知恵と勇気で封印する話である。
双頭の烏は、貢物として捧げた豚の中に皮を被ったロシナンテが潜み油断した所を討ち取る話。
3つ目の猿は、争いの後に酒宴を開いた所を女に化けたロシナンテが討ち取る話。
そして最後に残った最悪の精霊、毒の蛇は鏡に太陽の力を閉じ込めたロシナンテが太陽の力で蛇を焼き封印した話。
これが英雄ロシナンテの冒険である。
「太陽の力で………」
「ええ、夜になると現れる毒の蛇を、鏡に集めておいた太陽の力で倒したそうです」
「そんな魔法があるのでしょうか?」
「どうなのでしょう? 今使われている魔法には太陽の力というのはないですからね〜」
「何か手がかりになるような物ないのかな………!? クラウドさん【今】って言いましたよね、昔の魔法は今の魔法と違うんですか?」
「ええ、そうですよ。大体はおなじなのですが、サンキチさんの考えられた通り、今使われている魔法は体系化されて効率良く学び使える様になっていますが、体系化される時に使われなくなって忘れられた古魔法が色々あると聞いた事があります」
「その古魔法を知る方法はないのでしょうか?」
「そうそう、例えば賢者とか?」
「なるほど………、賢者リースなら或いは知っているかもしれませんね」
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「で、その賢者リースって人はアルナサ山って所にいるらしいです。話を聞いてくれるかどうかはわからないらしいけど、結構難しい感じの人って話でした」
「あたって砕けろでとにかく行ってみるしかないだろうな。アルナサ山ってのはこの地図によると、ここだなアーリアンから南に行った所だな」
俺はタイラーさんのいる商人ギルドでもらってきた地図でアルナサ山の場所を確認した。
3人で地図を見ている所に、宿屋のオヤジが来客を告げてきた。
「約束どうり、情報持ってきてやったぞ」
酒場のオヤジ、ゴルザが入ってきたなかなか律儀な奴である。
「魔王が攻めても落とせない城が有るんだが、そこの騎士団長が持っている日輪の剣を見た途端魔王は部下に任せて自分の城に帰ったらしい。しかもそれ以来その城には魔物の軍が攻めては来るが魔王自身は現れていないらしいぞ」
「日輪って太陽の事だよな? やっぱり魔王の弱点は太陽の力だな」
ミルキーちゃんとサンキチくんもうなずく。
「ゴルザさん、ありがとうその情報かなり使える」
「おぅ、そうか役にたったなら良かったよ。まだまだ情報探しといてやるよ」
「ありがとうございます。ゴルザさん」
ミルキーちゃんがペコッと頭を下げてニッコリ微笑むと、ゴルザは恥ずかしそうに「気にするな、大したことじゃないよ」ってニコニコしながら帰って行った。
ミルキーちゃんってなにげにスゲーオヤジキラーだよな。まぁなにより俺自身が真っ先にやられてるオヤジか。
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「なるほど太陽の力に賢者リース、さすがミルキー様情報収集も素晴らしいですね。このクリフトス感服いたしました」
いや、俺とサンキチくんも結構頑張ったけど? まぁいいか。
「で、とりあえずアルナサ山に行こうと思ってるんだが」
「ちょうど良かったです、私の強化プランもアーリアンに向かう計画でしたので」
「そうなの?」
「ええ、ミルキー様とサンキチさんは魔法強化なんで私がある程度指導出来ると思いますが、フミタロウさんは武闘家で私は専門外ですのでアーリアンのある人物に稽古して頂くつもりです」
と言うわけで、俺達は最初の町アーリアンに再び向かうことになったのであった。
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「ところで、サンキチくんなんか着々と魔王に向かってレールが轢かれて行くけど俺達大丈夫なのかね?」
「うーん、なんといっても落ちこぼれパーティーですからね〜」
「だよなー、どうなるんだろね〜」
「ね〜」
「…………」