5話 策略
「よくもやってくれたね、マーニィー!」
美都子が出口へ向かって時間が少しして、アーニィーと瓜二つの少女が、下着姿で現れた。
「アラ、イヤダ。もう来ましたの? お間抜けなアーニィーさん」
「クッソー、よくも私の服を奪って、トイレに拘束したな!」
「いいじゃん! だってアーニィー、ガチャで激レアでたんでしょ?」
「うっふーん! いいだろーってそうじゃなくて!」
アーニィー、だったマーニィーはハントボウとマントを捨て、シルクハットと黒いマントを身に付ける。
「ばれちったか、まあちかたない」
「どうするの、マーニィー。回りに見方はいないよん。警備員さんどうぞ銃を向けって、あれ」
アーニィーは警備員が数人、床に倒れているのに気がついた。それも結構な数。
「警備員のなかにも、何人か伏せてたのよねぇーン。味方がいないのは、どうやら、アーニィーのほうだったっぽいね」
オッフッフーン、とマーニィーは軽快に笑う。しかし、アーニィーは焦らない。
「オヤオヤ、アーニィーさん、中々のポォーカーフェイスをお持ちで」
「ポォーカーフェイス? ヌフフン、違っちゃうねー、これは余裕の笑みだよん」
「ほう」
マーニィーが興味深そうに呟くと、アーニィーは下着のなかからスイッチを取りだし、押す。
ドカーン
アーニィーやマーニィーがいる場所とは少し離れた場所で、爆発が起きる。『石段係数』には傷ひとつないが、別の絵画が粉々になった。
「正面からマーニィーが来て、背後では別動隊が活動しているとなると、お目当ては『石段係数』だけでなくて、別の展示物も狙っているんでしょ? 私がそらに一つずつ爆弾を仕掛けたわ」
「な、」
「おうっと、今私が死んでも、みっちゃんに自動でこの事が連絡されるはずだわ。爆弾処理班なんてあるかしらねぇ? 持っていっても一時間後までに解除できるかしら? もちろん、無理に剥がそうもんならドギャーンだよぉ」
「まさか爆弾を仕掛けているとは……」
「アーニィー! 裏に回ってみたけど、何人か不審者を捕まえただけで、マーニィーがいないわって、うわぁ!? 双子が揃ってる!?」
美都子、汗だくで登場。
「あ、みっちゃん久しぶり。マーニィーダヨー」
「あんたねぇー、前回はよくも……って、何か爆破のあとがあるんですけど、どういうことよ」
「みっちゃん、それよりも早くこの警備員捕まえて! マーニィーの協力者!」
「……さて、今回はここいらで引こうかな」
マーニィーはそういうと、『石段係数』の近くの壁を蹴り飛ばし、そのまま闇に消える。アーニィーも美都子もそれを追おうとしたが、それよりも逃げ遅れた協力者たちの検挙で遅れ、取り逃がした。