4話 怪盗の襲撃
ごめん、変な文字は許して
「ついに今夜ね。マーニィーの犯行予告によれば、21;00~22;00の間に盗むといっているわ。絶対に、気を抜かないようにね」�(
「うんうん」�(
何十といる警備員のから少し外れた位置で、美都子は注意を喚起した。そこそこに広い室内であるものの、こうも人が多いと、自由電子のようなアーニィーにとっては息苦しい。�(
美津子の言葉もテキトーに相づちをうちながら、アーニィーはトッポを口にくわえる。その片手にはスマホゲーのパズルで遊ぶ姿がある。�(
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「あんたねえ、緊張感を持ちなさいよ」�(
「待って、今はlineでマーニィーがガチャで激レア当てたって自慢してきた、くたばれってコメントする」�(
「お前がくたばれ」�(
アーニィーとマーニィーが連絡を取りあっていることは美都子だけが知っている。一度はそれでマーニィーの行方を探ったものの、アーニィーと同様に自由奔放な上、見た目からは想像もできない高度な知識を所有するマーニィーの居場所を探るのは無理だった。�(
「……ついに21;00ね」�(
館内の大きな時計が、大きく鳴いた。そろそろ、マーニィーが動き出す。�(
警備員たちにも緊張が走る。ただアーニィーは静かに、黙々とスマホゲーにに興じる。�(
ツーーーーーー�(
突然、館内の電気が一斉に遮断された。慌てる警備員も多く、あちこちで人と人が衝突し合い、パニックに陥る。無理もない。人の目には何も映らない空間が不安感と恐怖感、そしてマーニィーが何かを仕掛けた、という焦燥感を持って現れたのだから。�(
「早く電気を起こしなさい!」�(
「みっちゃん、落ち着いて。懐中電灯を持っている人はそれを使うように指示。それにスマホとかにもライト機能があるから、まぁないよりましょ」�(
「そうね! 皆落ちつーーーー」�(
ドゴォン! ドドド! ドンドン
「な、何?」�(
突然轟くのは、重量を持った何かがぶつかり合う音だ。それはまるで大砲が発射されるような音で、四方八方からの謎の音波攻撃にそこにいたものは暗闇と相乗した恐怖感を覚えた。�(
一分か二分、闇と音の支配は続いた。中にはパニックを起こしてリタイアするものも現れたが、しかし美津子とアーニィーの的確な指示によって電気は復旧し、そして回復までの間、ターゲットの保護も完璧だった。�(
「……何も、無いわね」
「一応、マーニィーが変装をして紛れていないかを確認しよっか。みっちゃん、二人で考えた合言葉は?」
「そうね。私が良い国作ろう、って言って、」
「オカマクラブだよね」
「えっ、違うわ」
「えっ、ちょ、タイム! 」
美都子は警備員数人に指示を出して、アーニィーを拘束するよう命じる。通常、手錠をかけることは、暴力沙汰に等しいが、マーニィーの事件にのみ、疑わしい存在に手錠をかけることが許されている。
「私たちが合言葉を考えたのはどこ?」
大の男に囲まれたアーニィーが叫ぶように問いかける
「そりゃ、休憩室でしょ。ダラダラとお菓子を食べてる貴方と、いっしょに」
「その頃のアーニィーはみっちゃんと館内を廻っていたよ!」
「はぁ? いくらなんでも可笑しいわよ。マーニィーがアーニィーに変装していたならとにかく、マーニィーがアーニィーと私に同時に変装するなんて」
「協力者がいるんだYO! 大体、さっきの大きな音は、いくらマーニィーでも一人じゃ準備できないよ。一人や二人だけじゃない、もっと多くいるよう!」
「ていうか、アーニィーはあの大きな音がどんな意味を持っていたのか分かるの?」
「あ、そうだった!」
「何よ」
「こんな山のなかではマトモに絵画を運べるはずないから、恐らく車を使うでしょ? んでね、さっきの音は車で壁を破壊していたんじゃないかな」
「壁を? でも四方八方から聞こえたのよ、もしかして、美術館を物理的に潰す気とでも? それに外にだって警備員はいるのよ」
「うん、美術館を破壊するのは一部だけだよ、それに警備員は恐らくーー」
「美都子さん!!」�
警備員の一人が慌ててこちらに駆け寄る。
「外の警備員が全員、連絡が途絶えたので確認したところ、全員が意識を失っています!」�(
「でしょうね。しかし、もし21時頃にマーニィーが行動したと言うなら、いくらなんでも一人じゃこの短時間に無理ね」�(
「アーニィー、一部分だけ破壊、ってのは……」�(
「簡単だよ、銃弾でも破壊できないなら、普通の壁を突き破って、そのまま車に入れて持ち去るの。でも簡単にはいかないだろうから、四方八方になんらかの大きな音を出してカモフラージュん♪ 音がやんだのはもうちょっとで壁が破壊できるから。このアーニィーが偽物扱いされている間に、マーニィーはいまも行動してるんだよ」�(
「今すぐ裏に回って!」
警備員を半数ほど引き連れ、美都子は出口へ駆け抜ける
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