1話
私は逃げていた。
現実からじゃない
文字通り逃げていた。
街道から外れた森の中
「待やがれ」
そう言われて待つ人間はいない
可愛いって罪ね
そう思っていた時だ
「おっと、これはフラグか?」
木の上からそんな声が聞こえてきた。
こんなところに人が?
「誰だ」
追ってきた男が尋ねる
「名乗る程のものじゃない。
通りすがりのスランプだ」
「「名乗ってんじゃねぇか」」
思わず突っ込みかぶってしまた
突っ込まれながら木の上から飛び降りた男が
「おいおいこいつが言うならわかるが、お嬢さんにしては品が・・・
っておいここはお嬢様だろ、なんだこのちんちくりんはお子様じゃないか」
なんてことを確かに平民だから貴族のお嬢様ではないが
言うに事欠いてちんちくりんってまだ発展途上なのは認めるけど
いやいやそういう問題じゃない。
「まだ11歳よ、それにこんな美少女捕まえてちんちくりんって目が腐ってるんじゃない?」
思わず文句を言ってしまった
調子が狂うわ
「まあ女子供を守るのが男ってもんだしな子供でも構わんか」
「まだ11だけど立派なレディよ」
「そんなことはどうでもいい、俺を無視するなっ!!
がっ」
スランプという男は私を追ってきた男を殴り倒していた。
スランプの右手にはスコップが握られていた。