第一話 始まり
不幸とは無縁だと思っていた。
俺のこの学校生活。
親友だっているし、みんな楽しい奴ばっかだし。
いつだっただろう、この幸せが一転して、不幸のどん底まで突き落とされたのは。
何かが急におかしくなり始めて、歯車が合わなくなる。
やがてぎしぎしと音を立て始め、崩れ落ちたんだ。
何が、歯車をかみ合うのを許さないのだろう。何が、俺達をそうさせてしまったんだろう。
分からない…、分からない。
***
…林間学校一ヶ月前。
「…………へ?」
「やったな、蓮!お前、自己ベスト更新したんだよ!!」
「…マジ?」
飛鳥蓮。陸上部に所属しているが、自己ベストをさっき更新した…らしい。
「ホントホント。これで次の大会はお前で決定だな。」
「…マジ?」
このとき俺は、かなりの驚きに呆然としていたらしい。
何回も同じ事を聞いていた。
「だからホントだって!ほら、お前からも言ってやってくれよ。工。」
坂元工。俺の一番の親友だ。同じ陸上部に所属しているが、俺よりよっぽど足が速い。…はずなんだけど。
「おめでとう。これでお前は大会に出場できるな。…俺、最近タイム悪いから。あとは頼んだぞ。」
「…工…。おう、任されたっ!!」
工が俺の言葉に少し微笑んだ。
そう、工は最近タイムが悪い。もしかしてこれが、スランプというものなのだろうか。
ということで、今のところ調子が良い俺が選手に選ばれたわけだ。
工と二人で話していたら、ひそひそとした聞き取りにくい声が、少しだけ伝わってきた。
「…やっぱり天才は違うな…。」
「…二人でトップタイムずっと争って…だろ…?…でも…は、飛鳥が不正してたんだよな…?」
…。
……え?
俺が、不正?
何でそんな噂、流れてるんだよ…?
陸上部の二人のその言葉に呆然としていた、その時。
変なところで終わらせてしまってすみません。
こんな文章でも、感想をもらえたらありがたいです。
よろしくお願いします。