第十五話 家庭の事情
今日は嫌なことだらけだった。
…これから、またその“嫌なこと”があると思うと、
……帰りたくない。
***
「…ただいま」
とうとう、家についてしまった…。
家に入り、いつものように玄関の靴を確認する。
…靴が…二人分…ッ!?
俺は嫌な予感がして、すぐに階段を駆け上がる…ッ!!
…しかし…
***
…林間学校前日。
「蓮。…どうしたんだ、なんか機嫌悪そうな上…、痛々しいんだけど…」
啓が俺のところに来て、俺の頬に貼られたばんそうこうを見て…悲しそうに…言った。
「…っ、なんでもないよ。気にするなよ」
まずい。
さっきのは、明らかに作り笑いだった。
「…元気出せよ」
いつの間にか工もここにいて、俺の頭に手を置いた。
頭にあるたんこぶが見つかったのかと思ったが、工は俺の頭をぐしゃぐしゃと撫で回す。
…強がっていたのが、ばれたんだな…。
「工は心配性だよなぁ。蓮なら大丈「お前もだろ、人の事言えねぇだろうが」
…久しぶりに見たな…、二人の喧嘩。
相変わらず啓は絶対零度の笑みを炸裂させているし、工はきつい言葉をぶつけている。
…しかし、今はそれも俺を励ましてくれているのだと思うことができて、嬉しくなってくる。
「…二人とも、ありがとう。」
本当に…ありがとう。
「れーんっ!やっ…ほ…」
バシンッ!!と肩を叩かれる。
振り返ってみると、そこには美空がいた。
美空は俺の頬を見て、語尾を小さくしていく。
「おぅ、美空。」
なるべく平然を装って言った。
だが、美空のその悲しそうな表情は決してなくならない。
しだいに…美空の目から…涙が、浮かんでくる。
「み、美空っ!?」
俺はそれを見て慌てるが、美空は俺に背を向ける。
「ご、ごめん。用事思い出したから行くね。」
そう言って、美空は走り出してしまった。
「…美空」
「…あいつも、つらいだろうな」
「優しいから、あの子。」
そうだろう。
美空は優しい。
優しいゆえに、俺のこの“家庭の事情”は結構こたえているみたいだった…。
一気に林間前日まで飛びました、はい。
もう無理です、はい。
ごめんなさい。
林間が書きたくて仕方がありませんです。
こんな僕ですが、最後まで生温かい目で見ていてください…、お願いします。