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5・【お前ェ…命のやり取りって奴分かってねェだろ…】

鈍い金属音。

紅ノ剣士が、自らの刀を持ち直す。


表情は、真剣そのモノであり、

決して相手が小物であろうと容赦は一切しない…

その様な、一種の殺気を発していた。


その殺気は、親玉の怒声とはまた違った意味で、この場の時間を凍り付かせた。


「…さぁ…、殺戮ショーの始まりだ…、青二才ィ…!!」


凍て付く時間の中、眼を血走らせた親玉が、地獄の使者の如き声を上げる。


何処に隠し持っていたのか、人間の頭一つと、

同等の大きさの鉄球を持ち出す。

威力は、見た目だけでも判断出来そうだった。


実際「そいつ」は、密度の高い金属で出来ており、

「そいつ」にとって人間を打ち砕く事など、容易な事。


親玉は、恐怖していた。

恐怖していたからこそ、力を出そうとする。

火事場の馬鹿力を。

それが彼に通用するかどうかは…また別として。



一方として、ただ、己の刀を携えて、何も、語らない彼は。

敵の様子を伺っている様だった。

眼を閉じ、その精神を、ただ只管に、この時間の支配に向けている様で。




……汗の流れ落ちる音。




「っハハハハアァァハァァァ!!

死ねえぇえエエェェェ 青二才がアアアァァァァ!!」


それを合図に、支配の空気を打ち破り先制を仕掛けたのは、やはり親玉であった。

狂った叫びを上げ、眼は血走っており、理性も、何もかも、なくしてしまった様に、

只、「本能」のままに、獲物を捕らえようと…、 この手に掛けようとする、獣の如く。


その手に持つ鎖鉄球を回しながら、彼に迫る。

間合いはそこまで遠くはない。


恐怖で、親玉は狂ってしまったのか。

ケタケタと、笑い声を上げながら、間合いを詰める。


怒声が上がる、

しかし、もう何を言っているか分からない。

言語崩壊。


その言葉と同時に、手に持つ鎖鉄球が彼に振り下ろされる。

彼は“静”を保ったまま、動かぬ。


客らは息を呑む。


金属と、金属がぶつかる音が反響する――――……



―――――――――――――――――――――――――――――――――――――


その時間、音という音は、消えた。

無音、静寂の訪れ。


その静寂の中に、重いモノが落ちる音が割り込む。


…、親玉の持っていた鎖鉄球。


ソレは見事に真っ二つに切り裂かれ、半球体となっていた。

その断面に、傷は無い、綺麗に、真っ二つ。


ソレが地面に落ちるまで、皆何があったかを、又もや解する事が出来なかった。

その出来事は、余りにも刹那で、美しく思えたから。


それを一人、解したのは、紅ノ剣士。

己に降り懸かる、重き鉄の玉を、その手に持つ紅白銀の刀で…。

彼の眼は、ただ親玉を真っ直ぐに、見詰めているだけだ。


…鉄球など、彼にとっては『玩具』に過ぎなかった。

迫る玉を、その手の刀で、いとも簡単に切り裂いた。

刀に刃毀れは見えない。

依然、刀は彼の眼と共に光るだけ。


親玉の顔は青ざめる。

客らは、歓喜する、心の内で。だが、声は出ない。

まだ彼が、時間を支配していたから。


その時間の支配を破るのは、彼自身のみ。



彼が無言で、親玉の元へ歩み寄る

親玉は、金魚の様に、口をパクパクさせ声は出さない。

恐怖で、声が出なくなってしまったのだろう。


尻餅を付き、無様に後退りをする。

彼は無感情な眼で、親玉を見据えて歩み寄る。


…何の前触れも無く、彼が後ずさる親玉の、胴の真横に、

手にした刀を勢いを乗せて、突き立てた。


刀の刺さる音がする。



付き立てた刀にちらと眼をやり、彼は語る。



「お前ェ…命のやり取りって奴分かってねェだろ…」


無感情だった眼は、呆れの光を宿す。

何も喋らず、ただ震える親玉にその眼を向ける。


彼に、親玉を殺すと言う気が毛頭無い事は、

この場にいる客らや、意識のある強盗らも感じ取れた。


…もしかすると、彼にとって親玉は、殺すに値しない相手なのかもしれない。




「ヒィィ……」


「さて… と。

ちょっと腕の一本でも斬り落としてやろうかとは思ったんだが、勘弁してやるぜ。

代わりに・・・」



「『闘い』ってモンが何なのか、この俺がミッチリ教えてやらァ!!」


「!?」

「!?」

「!?!?」



「あーのなァー、闘いってモンは命のやり取りだぜ。

そんな基本的な事も分からねェーのに俺に喧嘩を売るなんて笑止千万。

ってかお前強盗だろ強盗なら強盗らしく金奪ってさっさと店を出ていけよな。

なのに金奪う前に俺に喧嘩売るなんて余計な事しやがって、酒の酔いが醒めちまったじゃねェか。

大体だなァ、感情高ぶって闘うのはある意味地雷だぜそんな事も分かんねーのかよ。

一応強盗のリーダーだろ、ちったァ落ち着いて冷静になれっつーの。バカなのか?バカじゃねェか。

あーだり、こーだろ、そーだろ、うんたらかんたら、くどくどくどくどくど・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」


・・・何故か、

何故だろう、紅ノ剣士の親玉に対する「お説教」が始まった。


てっきり、殺戮とした現場が始まるかと思っていた客らは、唖然とする。

・・・もしかすると、彼はまだ酔っていてその勢いかも…

と、思う者さえ中にはいた。


勿論、これには流石の親玉すら拍子抜けしたらしく。

恐怖に満ちていた目が、テンになっていた。

どうやら、今度は驚きで声が出なくなったらしい。


尚も彼は説教を続ける。

ジェスチャーを交えつつ、説教を続ける。

誰の目をも気にせずに、説教を続ける。


・・・永遠に続くような、「闘い」とは何たるか の説教を…



「あーだ こーだ うんたらかんたら そーだよ こーだぜ うんぬん 」

【焔月】

少し時間が空きましたが、五話。

・・・だがなんだかこれは府に落ちない感がする。

以前描写が甘い・・・。 親玉さんはご愁傷様です。

彼のお説教の始まり、きっと酔っ払いの勢い。

一応、彼、まだ酔ってるよ!? い ち お う !

・・・ふぇ、おかしな文章で申し訳ない;;

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