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プロローグ
初投稿です。
残酷描写のタグは保険です。一応戦記ものなので。
あらすじに追い付くまでかなりかかると思いますが、よろしくお願いします。
――以上が、お前の役割だ。決して忘れるな――
轟くような声が響く。
彼は慄いた。その声に対してではなく、この場所に自らが在ることを。狂いそうな恐れを、他人に悟られたくないという想いのみで、無表情の下に押し隠した。
――お前が目覚めた時、おそらく我等はこの世界にないであろう。
時が十全に満ち足りて眠りが覚めることを祈っている――
つまり、一人で何とかしろということだ。
いつもそうだ。
この問題に関しては、こぞって彼に押し付ける。
――お前に訪れる久遠の眠りが、安らかであることは保証しよう。
だが、その眠りの中に記憶を置いてきたりするでないぞ。
最も困った事態になるのはお前自身なのだから――
決して忘れたりするものか。
そう呟く自身の声が遠く。
その時を境に、彼の意識は闇に沈んだ。