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最強勇者スキルだけど口に出すのも恥ずかしい・・・  作者: 安藤昌益
新たな旅に

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みんなの笑顔が消していいのか

「何が起こったのだ?」

 神竜国皇帝ゲントクは呆然としていた。

 神聖帝国帝都への再侵攻のために集めた軍団と物資が、再侵攻に予定していた9割がた集まっていたところだった、が灰塵に帰そうとしているからだった。

「陛下。我らが、あの賊を倒してご覧に入れます。ご安心下さい。」

と勇んで出撃していったカン・ギンヘイの部隊の旗印が見えなくなっていた。

「私めに任せて下さい。鎧袖一触してやります。」

と颯爽とでていったチョウ・ホウからの報告は来なかった。

「我らが命に代えても押し返します。」

と決しの形相で駆けだしていったコ・サンジョウ達の部隊は壊滅する様子を眼前に見た。


「我が妻にしてやってもいいが、姐さん女房は趣味ではないからな。」

 ホウは、片腕を失い出血で意識が遠くなりながらも、悪態をついた。

「奇遇だな。お前のような口ばかりの尻の青い体ばかりがでかいだけの小僧は趣味ではない、我も。お前の父親も口ほどにもなかった。親子同じだな。」

 スカディは、魔王としての言葉遣いで、久しぶりだった、応じた。

「な、なんだと。」

 怒りで立ち上がったものの、その直後に意識を失って、彼の巨体は仰向けに倒れ二度と起き上がらなかった。

「では、夫殿に追いつきましょうか。」


「あ~ら。戦神の大魔導士の名を知らなかったのかしら?接近戦になれば勝てると思っていたの?なんてお馬鹿さんなのかしら。相手の情報も持たずに戦いを挑むなんて、戦士として失格ですわよ。顔と同じで頭も最低のようね。」

とフレイアは嘲るように、1人ボロボロになって何とか立っているだけのサンジョウに向って呼びかけた。もはや彼女には、言い返す力も残っていなかったし、自分の姉妹、同志、部下達、いたるところで破竹の進撃をしてきた竜の乙女騎士団が自分だけしか生き残っていないことにも意識が及んでいなかった。

「じゃあ、愛しいタイジ様のところに行きましょう。」

と言ってフレイアが背を向けると、サンジョウは仰向きに音を立てて倒れて、二度と起き上がらなかった。


「どうしようかしらね。回復させても、情報が得られるわけなさそうだし・・・。タイジ様がボスを捕まえるからいいわね。殺しちゃうか?」

 イシュタルは、ギンヘイを首を片手で掴んで持ち上げながら、独り言を言うように呟いた。彼らの足元にはギンヘイの兵士達、カンウを慕う兵達も含めて、多数の焼けただれた死体が山となっていた。

「く、くそ・・・屑聖女が・・・。」

と呻きながら、ギンペイは罵った。

「戦い聖女を軽く見たのが間違いだったわね。やっぱり頃いちゃお。」

 次の瞬間、ギンペイの首が握りつぶされた。

「タイジ様が待っているから行きましょう。」

 そう言うと、彼女はギンペイをゴミを捨てるように放り捨てた。


 神竜国皇帝ゲントクは、呆然と佇むしかなかった。数日後には出撃の予定だった。全ては順調だった。奇襲は、こういう時には常に注意をしなければならないリスクだった。そのことはよく分かっていた、長年の戦いの経験から。周囲には、警戒と防衛のための砦をいくつも、ネットワークを作るように配置していた。間を埋めるパトロール隊を巡回させていたし、見張り小屋も数多く設置し、一定時刻には連絡をするようにしていた。どこかの連絡がなければ、警戒体制をとれるようにしていた。拠点は、占領した元々の城塞都市を利用して、城壁中心の警備も厳重にさせていたし、その内部での軍の駐屯場所も分散させて、最初の一撃、大きな攻撃魔法などでの、による被害を最小限にできるようにしていた。もちろん、魔法防御結界も張っていた。

 それが突然の波状的な、どのくらいの種類の攻撃魔法が?というものから始まり、即座に反応した生き残りの将兵達の反撃がいとも簡単に退けられたというのではなく、壊滅させられるのを塔から見ることになってしまった。状況を確認するために、自分の臣下達の奮戦ぶりを見るためにとも思ったのにもかかわらず、次々にできる屍の山を見るだけのことだったのである。

「陛下。ここは一旦、引き上げましょう。」

 巫女の言葉が耳に入った。義兄弟達、軍師の仇と彼らとの約束、夢をかなえるための戦いで、信頼する家臣達の全てを失われようとしている中、彼にはこのまま動く、退却して命を長らえる気にはならなかった。


「おっと、ラスボスさんがいるじゃないか?」

 彼と巫女達がいる塔の屋上の広間に侵入者が現れた。

「ここは勇者様の出番だぞ。」

「は~。その台詞、何か皮肉に聞こえるから、止めてほしいわよね。」

「でも、もうちょっとは役に立たないと同じ召喚者として恥ずかしいんじゃない?」

「そりゃ、少しは役に立ちたいけどね・・・。」

「実力差があり過ぎるからね。でも、ここは少なくとも足止めくらいはしないと。」

「そうしましょう。一応勇者パーティーだしね。でも、それでも気を付けてよ。ラスボスは・・・やっぱり強すぎるから、私達の力では。」

「分かっているさ。じゃあ、気を引き締めて行こうぜ。」

「おうおう。みんな頑張ってくれよ。」

「おっさん。あんたも前に出るのよ。」

と言いあう一団を見て、

「ええい。無礼者、下れ。皇帝の御前であるぞ。」

と巫女の一人が叫んだが、

「貴様らごとき・・・相手になってやる。光栄に思え。」

とゲントクは前に進み出た。


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