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最強勇者スキルだけど口に出すのも恥ずかしい・・・  作者: 安藤昌益
新たな旅に

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今まで何していたんだ

「今まで何していたんだ?こっちは大変だったんだぞ。」

 帝国枢密院会議、現在の国難に対する対策が誰もが思い至らず、無言となりがちで苦しい沈黙が度々続いている中で、宰相兼帝国魔導士長のクロノスが、常に冷静で落ち着いた態度を取っていた、現在のような状況下でもそれを崩していない、彼が突然ぶつぶつ呟きだしたことですら、周囲の者達が訝しく、或いは不安に感じたのだが、突然叫びだした、しかもあらぬことを、ことから皇帝以下唖然としてしまった。

 周囲の様子に気が付いた彼は、声を出さずに、しきりにうん、うんという風に頷き始めた。それに対しても、周囲は奇異な目を向けざるを得なかった。中には、彼がおかしくなってのではないか?と思う者さえいた。そう思った者の中には、彼がおかしくなったら、倒れたら帝国が崩壊してしまうと、さらに考えた者もいれば・・・。

 そして、大きく頷いた彼は、いずまいを正すと、

「陛下。そして、ご列席の皆さま。我らの勝利は確実なものとなりました。」

と唐突に切り出した。彼以外の全員が目が点になった。それを回復させる前に、彼はさらに続けた。

「今、最強無双勇者タイジ様からの念話がありました。彼の転移は、この時代だったのです。私との念話で自分の正確な位置を確定しているところです。一両日中には、彼は、奥方様達と我らの前に現れてくれるでしょう。彼は即参戦するしてくれるとのことです。これで、1週間以内には、形勢は完全に逆転することになるでしょう。」

とクロノスと叫ぶように言った。最近の彼には見られない、晴れ晴れとした表情になっていた。


「い、今まで何をやっていたんだ。こちらは大変なんだぞ。形勢はどこも悪い。一進一退ながら、ここぞとというところで敗北して、日々追いつめられてきているというところなんだぞ。」

「そういうなよ。何とか念話をしようと試みて、ここ迄着てようやくお前を把握できたのが昨日。何度もやってみて、こうしてはっきり送れるようになったんだよ。送ることができたら、安定して繋げるようになるから、こうして話もできるようになったんだよ。お前さんならわかるだろう?」

「まあ、分からないことはないが…そういうこと自体規格外だからなら…王妃様方は…もう元がつくが…お元気か?」

「それは…元気過ぎるくらいに元気おだよ。毎日、激しく愛しあっているよ。」

「まあ、それならそれで安心したよ。まさか、新婚旅行だなんて、物見遊山もしていたんではないだろうな?」

「…情報集めもあったし、色々あったんだよ。ところで、神竜国の侵攻は何時始まったんだ?」

「話を誤魔化したな…まあいい…今から、半年近く前だ。それまでは、沈黙に近い状態だった。色々と情報収集を試みたりが特殊な体制だしなかなか…だけど、お前が殺していった宰相や戦士達がかなり、あちらにとっては痛手だったらしい。あの国を作り上げたいのも、あの男の力があってこそだったらしい。あいつが見出していた連中が、この3年間準備した結果が…だしな。召喚勇者様達の尽力もあって何とかここまで保ってきたが、あと2~3ヶ月というところだと頭を抱えていたところだよ。とにかく一日でも早く帰ってきて欲しいというところだよ。ほとんど諦めていたところだから、神は我らをお見捨てにならなかった、と叫びたいところだよ。」

「分かったよ。調整に少しかかるが、大丈夫長くても一日もかからないと思うから心配するなよ。じゃあ、一旦終わるよ。詳細は、そちらに行ってからということで。」

 クロノスとタイジの念話のやり取りは、一旦それで終わった。

「ふう…。本当には…。」

 しばらく後、一人になるとクロノスは跪いて、神への感謝の祈りを捧げていた。


 その頃、タイジの方はと言うと、厳しい表情で無言でじっと胡坐をかいて座っていた。精神を集中していた。念話でつながったクロノスを見失わないように、念話は出来たがたまたまうまくつながった、何度も失敗したあげくに、だけであり気をつけないとまた把握できなくなるからだ、彼との距離、位置を完璧に把握しようとしていたのである。転移ができる程に完璧に、それを把握しなければならない。そんな彼を6人の人妻Sはじっと、黙って、息も最小限にして見守っていた。

「はー。」

と彼が息をついた。

「完了。明日にも、転移できるよ。」

と彼が言うと、

「ご苦労様でした。流石ですね。私達も、さっそく準備をしないといけませんわね。」

「では、今日の内に荷物をまとめておきましょうか?明日早い方がいいでしょう?」

「新婚旅行終わり・・・。」

「もうちょっと、旅を楽しみたかった、もっと色々な所を見て回りたかった、美味しい物を食べたかった穂というのも本音ですれどね、私も。でも、あちらの情勢は差し迫っているようですから、ここで切り上げるのがいいでしょうね。」

「残念ですが、フレイアの言う通り。まあ、食べ物は勇者様の手作り料理にかなうものはありませんでしたね。」

「まあ、そういうことですから、体と頭を動かしましょう。やることは、荷物の片づけだけですか?」

と人妻Sは各々声を上げだした。

「ここのギルドや旅館に・・・親しくしていた連中にも、明日、出立するということを言っておかないと・・・あと、回りで嗅ぎまわって、襲撃のチャンスを狙っている神竜国の連中をどうにかしないと・・・。」

というタイジの言葉に、

「みな殺しにしまえばいいでしょう?」

と6人はハーモニーした。

 タイジは、皆殺しにして連絡がいかないようにした方がいいか、襲撃前に転移してしまい自分達の行方を捜しまわさせて時間を浪費させるのと、神竜国にとってこちらの情報が得られないということで混乱するのはどちらだろうか、と思案にくれた。考えれば考える程どちらにも一理ある。

「皆殺しにするか。」

という彼の決定に、6人は妖しく微笑んで同意した。その顔を見てタイジは、心の中で苦笑した。そして、

「俺がそうしたのかな?それとも元々根がこうだったのかな?まあ、どちらでもいいことだ。」

と思うことにした。


 

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