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最強勇者スキルだけど口に出すのも恥ずかしい・・・  作者: 安藤昌益
新たな旅に

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新婚旅行➁

「一応地図は手に入ったよ。ここはずっと西方のテワカン王国、その南方のティオ市。多分、3000㎞は飛ばされたようだけど、この地図は距離もなにも、大雑把すぎて、位置関係がよく分からないから、転移ができないし、状況も分からないから、取り合えず、情報を集めながら、ゆっくりと進もう。新婚旅行だと思ってさ。」

 そう言って、宿の大部屋、12人用だがまとめて借り切って、の扉を開けた。

「確かに一理ありますけれど。」

「新婚旅行もいいけど。」

「冒険者なんか。」

「確かに慎重に、当面は正体を隠して、状況を確認しながらというのは正しいと思いますけど。」

「あんな連中と付き合うのは。」

「人間達の中でずっとというのは。」

と言いながら、本音は、

「お金があるのに、どうしてこんな安宿で新婚旅行を始めるのよ。」

だった。表情からもはっきりしていた。冒険者ギルドからの報奨金の分配分だけでなく、今まで蓄えてきた金貨等の収納魔法の状況は何の障害、未来への転移であっても、はなかったから、この町一番の高級宿の最高の部屋でも十分大丈夫だったはずである。その空気を察して、

「最初から大金を持っている一行というのが分かると怪しまれるだろう。」

とのタイジの言葉にも、

「だって~。」

という顔の6人だった。が、彼に従って部屋に入ると、

「あ~・・・え?・・・何?」

 彼女達が見ている間に、みるみる部屋の内部がきれいになり、きれいになるどころか別物、上等な部屋に変わっていった、ベッドなどの調度品も同様だった。


「ほら、天幕の中で少し試してみただろう?内部空間が快適になったろう?それで少し自信がついて、それを大々的に応用して、錬金術魔法も使ってやったんだ。持続時間には限度があるけれど・・・数日かな・・・なかなかのできだろう?」

と自慢げに言うタイジに6人は、満足そうに頷くばかりだった。

 しばらく、数日ほどこの町での生活が続くことになるが、その夜はさっそくベッドを軋ませることとなる7人ではあった。


「しっかし、旦那は・・・魔法も剣も拳も見えない・・・勝手に魔獣が倒れて、解体されているって感じだよな。それに、姐さんたとも凄いよな。何度も見ているけど・・・。」

「幼児ゴブリンの群れを7人で瞬殺した時から分かることだけど・・・。もう囲まれて・・・私なんか弄ばれたあげくに八つ裂きにされて・・・。」

「と思って、小便をちびらせたわけか?」

「そ、そんなことないわよ。失礼な男ね。」

「本当にデリカシーがないわよね。内のパーティーの男達は。」

「ひどい言い方だよな。」

「まあ、俺はちびったけどな。」

「あら、そうだったの。」

「ちびったんだあ。」

「うちの女どもときたら。」

「おいおい、無駄口はそこらへんまでにしとけよ。俺達も雑魚退治するぞ。俺達には、雑魚とはいえない奴もいるから、しっかり心しろよ。俺達が上に行くための戦いも必要なんだからな。」

「分かっているよ。」

「分かっているわよ。」

と炎の剣のメンバーはリーダーの言葉にハーモニーして、それぞれの得物を構え、陣形を整えて駆けだした。その、直前ドサっという音がした。

「小僧ども、何しやがるんだ。」

「何、私を放り出して、失礼じゃない。」

 栄光の一撃のリーダーとメンバーの女だった。

「おっさん達は、暫くそうしていろ。」

「あんたが他を支えて戦えないでしょう?」

 炎の剣のメンバーは振り返って言っただけだった。

「く、くそが・・・どうしてやろうかしら・・・。リーダー、何か言ってやりなよ。このまま、舐められていていいの?」

と小柄な30後半に見える女魔導士に罵られるように言われた栄光の一撃のリーダーは、少しばかり彼女にも、離れてドラゴン等の巨大な魔獣を瞬殺、解体も瞬時にしている男と、やはりS級パーティー一丸でも苦労する魔獣を易々と余裕で、楽しみながら倒して行く6人の女達にも、その戦いの余波で逃げまどう魔獣に挑む炎の剣の若者たちにも、怒りを向けたが、すぐに気落ちしたように首を振って、

「歩くのがやっとという俺達がいきがってもどうしようもないだろう?」

とあきらめ顔で答えた。それを聞いて、女魔導士はわかっているだけに悔しそうに涙を流すしかなかった。


 栄光の一撃、20人以上のメンバーの大半はあっと言う間にヘル達に、瀕死の状態になってギルドの床に倒されてしまった。その後、直ぐに死なない程度に回復・治癒魔法をかけ、例外的にリーダーと副リーダー、リーダーの愛人らしい女魔導士だけは何とか動けるまでに治癒した。

 2人を連れていくことで、S級の仕事をS級パーティー栄光の一撃として受けるためだった。取り分は、タイジ達が2/5、炎の剣2/5、残りの1/5が栄光の一撃とした。動けない栄光の一撃のメンバーの生活費、治療費としてである。何とか動けるだけの2人は、炎の剣のメンバーがおんぶして現地まで連れて行くのが常だった。

 炎の剣のメンバーを連れていたのは、栄光の一撃の2人を運ぶこともあったが、縁があったということで彼らに実力をつけさせたいとタイジが考えたからだった。

 ちなみにヘル達は当初、こんな辺境みたいなところでグズグズしているのも、こういう冒険者生活も、炎の剣のメンバーの世話、危ない時には手助けするように気を付けてみている等めんどくさがっていたが、いざ初めて見ると嬉々として、魔獣退治に暴れまわっているのと同様に、大いに楽しんでいた。

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