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最強勇者スキルだけど口に出すのも恥ずかしい・・・  作者: 安藤昌益
恥ずかしいスキルの最強無双の出番です

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さらにブーメラン?

「陛下。お気持ちはよく分かります。しかし、民を犠牲にして、ご自分の愛する者を守ろうとするのは、いかがなものでしょうか?しかも、魔王の脅威は猶予はならない状態です。こうしている中で、どこかの国が存亡の危機に立っているかもしれないのですぞ。誠に申しがたいことではありますが、ここは心を氷にして、事態を受け入れることが、最善かと思います。」

は王弟殿下である。国王より8歳下の、兄同様のややくすんだ金髪の、平均的な背丈の少し甘い顔の、もう頭の薄さを気にする、まだ腹が出始める直前という男だった。やや地味だが、威厳はある、軍の先頭に立って映える国王とは違って、全てに微妙という印象を与える。ただし、野心家のオーラは漂わせている。そして、表情には出していないが、ざまあみろ、妻を寝取られて情けない国王として威信の低下が図られれば、ショクを受ければいいと思っていることはよく分かった。

 実に苦々しい顔をした国王ではあったが、直ぐに破顔一笑、

「弟よ、良き忠告感謝する。だが、その言葉、お前にそのまま返してもいいかな?」

 兄である国王の、その顔を見て慌てて振り返ると、光っている自分の妻が目に入った。


「ゆ、許さん!」

と叫び、王弟は剣を抜いてタイジに向けて駆け寄って、斬りつけようとした。儀仗刀であるから、彼は逆上してそのことも忘れていた、ほとんど切れないが、斬りつけられるとかなり痛いし、怪我はする。

「場をわきまえてくださりませんか、兄上。」

 慌てて衛兵達が、タイジに剣を振り下ろそうとする寸前の王弟を取り押さえたところで、颯爽と現れたのが、王妹だった。兄達とは異なる見事な黒髪の知的な感じと共に、女騎士ならというような風貌な割と身長が高い、ただし肩幅が広いというのではなく、細身に近く大女という感じではない美人である。彼女に対しても、スリムなりに出るところはでているなかなかのナイスバディのものだと、何故かドレス越しに透視でもしていないのに感じていた、タイジは。

「ご自分の奥方が勇者様の求める者になったらだめで、他人の妻を選んでくれとは、上に立つ者として責任ある言動と言えますか?兄上方や義姉上方のお気持ちは察しますが、少しは落ち着かれてはどうですか、国の重鎮や支えてくれている多くの者達が見ているのですよ。」

と窘めるように言った。正論ではある。

 彼女も、女性だけに既に嫁に行っているものの、野心家である。度々国政に口出しをするのであるが、なかなか的を得た意見ばかりであり、なかなか実行力もあり、国益でものを論じ、敵味方を区別せずに能力、忠誠心、愛国心で人間を評価していることもあり、国王も彼女を信頼し、重く用いている面もある、苦々しく思ったり、うんざりしている時も度々あるものの。国王の包容力を示す事例でもある。ここで出てきたのは、自分の立場を高められると判断したからであるが、それが彼女の初めて、というわけではないが、大きな失敗だった。

「へ?」

 自分も光っていることに気が付いた。


「わ、分かっていますわ、いますとも。自分が言いだしたことですわよ。上に立つ者として、王族としての責任は痛感しています。責任ある態度をちゃんと取ります。勇者様とともに行きますわ。勇者様に身も心も捧げますわ。」

 兄達、その妃達、その他多数の好奇心みちた視線を感じ、しばし唖然としていたところから、すぐに回復して、全てを計算した上で、言い放った。

「ですから、義姉上達も覚悟されて下さい。ともに、国のため、民のため、世界のために、勇者様に身も心も捧げましょう。兄上達も、もうとやかく文句は言わないで下さい。このために、勇者召喚したのですよね。私達自身のやったことに責任を持ちましょう。私は、もう何でも耐えますわよ。どうとでもなれー!」

 最後は自暴自棄になっている、としか見えなかった。


 謁見の間である大広間から、隠れるように人妻、愛人となっている女性達が姿を消していった。しかし、身分のある者や国の重要な地位についている者、女騎士などはとどまらざるを得なかった。彼女達は、不安を隠せなかった。もちろん選ばれた人妻達は、せっかくの覚悟が空転してしまい、半ば呆然としていて、かつ存在を忘れられていた。

 大広間が静寂で支配されたが、その後に光だす者はいなかった。ホッとする空気が支配し始めたが、誰も言葉も行動を起こさなかった。

「仕方がないな。」

 クロノスは、心の中でため息をつきながら、呟いた。


「勇者様の選定は、終わったようです。そろそろ、次の段階に進むべきかと思いますが、如何でしょうか?」

 クロノスは、よく通る声で宣言するように言い放った。

「う・・・それは・・・後日でもいいのではないか?女達にも気持ちの整理が必要ではないか?この場で、彼女達の側で・・・そうだ、取り合えず手を握るということで十分ではいいのではないか?彼女達から優しい言葉をかけてやれば十分・・・そのなんだ、あのスキルの条件を十分かなえているのではないか?そうだ、それを許そう。それでスキル発動させよ。」

と自分が素晴らしいアイデアを思い付いたとばかり立ち上がり、晴れ晴れとした表情となった。これに、頷く者達、それに追随するような声を上げる者達もいた。

「陛下。このスキルの要素については、何度も説明申し上げたかと思いますが。」

 スキルの第3の要素は、イチャイチャラブラブするという意味は、男女の性的関係を結ぶという事である。

 第4の要素は、その関係は継続する必要がある。

 第5は、よりイチャイチャラブラブ=性的関係が順調であれば、勇者も女達もより強くなる。

「わかった。予定どおり、例の部屋に連れて行くがよい。クロノス、お前にまかす。」 

 国王は、本当に苦虫を噛むような顔で言った。

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