それでも応じよう
「竜人族は何と言っているんだ?ああ、その帰還魔法の詳細を問い合わせたんだろう?その回答は来たときいているが?」
集団召喚者達も集めた、人妻Sも勿論同席、会議室でタイジはクロノスに質問した。竜人族は、竜、いわゆるドラゴンだが、を操る種族のことである。竜の血を引く人間に似た種族で、操るというのも正確ではなく、どちらかというと、共にというところで、他の種族と竜との窓口、交渉役であったり、竜を養う者であったり・・・と竜と協力、共生関係にある者達と言い換えたった方がいいかもしれない。
「彼らも全く知らない、聞いたこともない、と言っている。全部の部族に当たったわけではないが、可能な限り当たった結果だ。その帰還魔法の詳細だが、国の秘法であるので、外部の者に伝えるわけにはいかないというのだ。そう回答してきた。」
クロノスの表情は、苦り切っていた。
「露骨に胡散臭い連中ではないの?私も、魔界でも聞いたことがないし。」
元女魔王スカディの言葉に人妻Sの他の面々は頷いた。
「それでも、それが本物の可能性があるのだろう?とにかく試してみるだけの価値はあるんじゃないか?油断なくしていればいいんだし。僕は、帰りたいし・・・。」
「それはみんな同じよね。」
「俺も帰りたい。」
「おい、この前は帰りたくないと言っていたじゃないか?まさか、振られたのか?」
「いや・・・その・・・。」
「私も帰りたい。」
「え?お前も振られたのか?」
「それは・・・。」
皆の意見はまちまちだったが、帰りたい者達はとにかく試してみたい、であり、迷っている者達も、気持ちは同様だった。
「おっさんには、人妻さん達がいるしな。もう帰りたくないし、帰れないだろう?」
「年上のあんたから、おっさん呼ばわりはされたくないな。そういうあんたはどうなんだい?」
「俺か?煙草は不味いし、ビールは生ぬるいし、食事は不味いし、パチンコもないし・・・、でも、帰ってもたいしていいことも待ってなさそうだし・・・帰りたいとは思っていないなあ。」
そこまでの話を聞いて、タイジは迷った。ところが、
「僕は、前に帰りたいと言っていたんだけど・・・。」
「お前は、好きな女ができたのか?いや、もう付き合っているとかか?誰だ、それ?」
「そ、それは・・・大序さん・・・魔族の女性というものの扱い方について・・・。」
「お前・・・何時の間に?」
「え~、あなたも?」
「あなたも魔族?魔族の男と?」
「いえ、魔族の殿方ではなくて・・・。」
「じゃあ、誰ー?」
騒ぎが大きくなっていくのを苦笑しむながら見ていた大序ことタイジは、大きく深呼吸してから、
「わかったよ。帰りたいという者がいる以上、受けるだけ受けるよ。ただ、用心、極力用心して、警戒してやるよ。それで、どういうことが考えられるかだ。まずは、帰還魔法が本物だということ。この場合は、問題ない、全く。それ以外の場合が問題だ。」
タイジが語りだそうとしたが、クロノスが引き継いだ。
「次は帰還魔法は、真っ赤な偽物であるということ。まずはタイジを陥れる・・・というより抹殺するためだけの囮ということだ。おびき出して、暗殺するというものだ。もう一つは、似たような魔法、帰還ではなく、どこか分からないがとにかく別の世界に飛ばしてしまう魔法だということだ。どちらかというと、こちらの魔法なら心当たりがあるし・・・。」
「もう一つあるな。その魔法が本物で、おっさんをとにかく葬ろうということだけで使うかもしれないぞ。」
「かもな。本物であっても、危険だということだな。だが、おっさんにおっさん呼ばわりはされたくないぞ。私もまとめて帰還させてしまえばということか・・・。」
「その後に残っている人達がどうなるか分からないわ。大序さんが、いなくなってまともな待遇をしてもらえるとは思えないわよ。」
「そうだな。こいつを排除したい奴の野望が小さいとは思えないわな。この世界の制服とかだったら、俺達は邪魔者だろうからな。それに、人妻さん達は最強無双勇者から離れたくないだろうし・・・。」
「全くそのとおりね。」
「俺がいなくなっても、みんなの力はなくならないしな・・・。」
「私達も抹殺対象になると言うわけね。」
タイジはしばらく黙っていたが、
「とにかくのってやろうじゃないか。」
と結論をだした。




