戦後処理?➂
「まったく勇者というのは無粋な連中ね。愛し合っている時に乱入しようとして・・・そして、本当に弱いったらありゃしないわ。瞬殺よ。」
とフレイアが笑った。
「死なせないようにするのは大変でしたよ。」
とため息をつくイシュタル。それに合わせて、他の4人もため息をついた。
「その間隙をついて、この2人が来たんだが、まあ、大したことはなかったよ。そして、そこにいるお前、何もできないよ。動けないよ、転真敬会奥義小退火。ああ、この2人の頭の隅にあったし、彼らと似たオーラがあるから。」
暗殺者の2人は騎士団の中にいた。そして、タイジが指さし、何とか逃れようとあがいているのは、リリスの侍女だった。その顔が次第に変わり、別人となった。
「何時すり替わった?」
女は無言だった。
「ここにいる全員、本当のことを正直に話してくれたから、時間の問題よ。」
とヘラが彼らを見渡して言った。
男勇者のパーティーは、魔王討伐後にタイジを抹殺するように命じられていた。もう一つの勇者パーティーは、以前に人妻Sに完敗していたので依頼されなかったのである。暗殺ギルド、闇ギルドにも、別途依頼がされていた。侍女には前日すり替わっていた。その侍女は、瀕死の状態で見つかった。ぎりぎりで助けることができた。
「まずは王妃様を引き離すこと。そうすれば、その変態色情狂屑勇者・・・あ、俺が言ったんじゃなくて・・・国王陛下の側近が言ったのであって・・・、は力を失うということで・・・。王妃様達を・・・それで簡単にやられてしまいましたけど・・・。それから・・・。」
「それから?なんなのかしら?」
ヘルは嫌な予感がしたが、敢えて尋ねた。
「引き離すことがだめであれば・・・・殺してもよいと・・・。国王陛下以下了承済だと・・・。あ、そんなことはしたいとは思っていませんでしたよ。そう言われたというだけで・・・。」
勇者以下恐怖に震えた。一瞬、ヘル達4人から、怒気、殺気というには強すぎるほどのものを感じたからだ。それは、一瞬だけで消えた。震えがおさまらなかったが、彼らはほっとした。
「そう・・・分かっていたけれど・・・あなたもだって、リリス」
とヘルがため息交じりに言うと、
「あの・・・あんな人だったなんて思ってもいなかったわ。」
リリスは国王とは、子供の頃から親しくしていただけに、流石にショックだった、ここまではっきりすると。
「もう私はいらないのというわけですね。」
とイシュタルは達観したように呟いた。
「ふん、こういうことになるとは予想はしていたけれど、ここまで思い切れるなんて、あの人を少しは見直して、褒めてあげたいくらいだわ。」
フレイアはあくまで強がるようにいったが、少し悲しそうだった。
4人は、何かが壊れるのを感じた。最後の最後まで残っていた何かが、完全に砕け散った、そんな感じだった。
「彼女達は・・・分かる気もします。」
「人間達は大変だな。」
と同情して4人を見る2人に、
「お前達の夫達が軍を率いてやってきたら、まとめて殺すがいいか?」
とタイジが質問した。2人は、暫く黙っていたが、
「はい。」
と小さな声で言った。
「これ以上面倒をかけて来ると困るから、ちょっと暗殺ギルドと闇ギルドの本部を潰してくるよ。」
とタイジが言い出した。クロノスが何か言いかける前に、
「みんなも一緒に行こう。手っ取り早く終わらせたい。魔族達の和平合意は、やっぱり、飾りでも一応私がいないといけないだろうからな。」
「は~い。」
と彼と人妻Sとの間に、ピクニックにでも行く調子で合意ができてしまっていた。
「ちょ、ちょっと待ってくれ。行くといってどうやって行くんだ?場所が分からないだろう?私だって知らないぞ。」
「転移魔法で飛ぶ。行って、壊滅させる、帰るでよ。」
「転移魔法だった?何時の間に・・・。しかし、転移魔法は一度行ったところ、知っている、記憶しているところでないと行き来は出来ないはずだぞ。」
「二年間の内に魔法書も随分読んだから、それで知って独学で覚えて、試して、修行してきたんだよ。場所は、こいつらの記憶と連動するから大丈夫。おい、こっちにこい。」
先ほど摘発された3人目も従順に彼の前に跪いた。
転移魔法を彼がつかえること自体、さらに、かなり長距離で、かなりの人間で、10人でだ、転移できるということに驚いたが、暗殺者を簡単に従順に使っている彼に驚いた。
「はい、わかりました。」
と3人とも。
「こいつ、支配とかそんな魔法を使っているのか?」
と思って心の中で叫んだ。
「勇者様達は、クロノス殿を命に代えても守ってくれ。頼んだぞ。」
「だんな、任せて下さい。」
こっちもだ、とクロノスは思った。とにかく内部には脅威はなくなった。当面は、ネルティスとスカディの夫達だな、と彼が思っているうちに、タイジ達は彼の目の前から消えた。




