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最強勇者スキルだけど口に出すのも恥ずかしい・・・  作者: 安藤昌益
恥ずかしいスキルの最強無双の出番です

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叩き出さなくて良かったでしょう?

「こ、こんな奴叩き出してしまえ!」

と国王は思わず叫んだのは、しばし沈黙が続いた後、所々でひそひそ声が聞こえ始めた時だった。その時もすかさず国王の前に飛び出し、ひれ伏したのが、クロノスだった。

「お待ち下さい、陛下。相手は、我々が勝手に、無理やり召喚した者です。これでは無実の者を処刑するようなものです。そのようなことをすれば、神の怒りを受けるかもしれません。そ、それに、最強無双の勇者とスキルにはあります、ここで失ったり、或いは野に離しては今後困った事態になるやもしれません。また、スキル名は、時として不明のものがあり、あとでその真価に驚くことが度々あるものです。ここで短慮されてはなりません。」

と一気に言上したのだった。過去、他国での例ではあるが、かなり以前、勇者召喚したところ、その一人がつまらないスキルしか持たない者だと追放したところ、そのスキルが凄い力を発揮したという記録もあり、同様に屑スキルだと追放、勘当、冷遇された人物のスキルが実は・・・という話はいくつもあった。

「し、しかしだ、そのようなスキルを持った者を世に放っては、民を苦しめることになるではないか?」

「叩き出しては、御懸念とおりのことがおこりましょう。」

 小柄で、そろそろ中年の国王であったが、それだけにクロノスの言葉に対して、理解するだけの経験による思慮があった。

「で、では、次席王宮魔導士長、どうしたらいいというのだ?」

「王宮でそれなりの待遇を与え、いざと言う時のために、鍛錬を積んでいただくことにしては如何でしょうか?その間、彼のスキルを調べさせておくのがよろしいでしょう。」

「う~ん。わかった。クロノス、お前にまかす。彼のことはお前が責任をもって世話し、スキルの内容を調べよ。」

「は、分かりました。」

と答えたものの、クロノスは自分がこの瞬間、閑職にまわされてしまったことことを理解し、"しまった"と心の内で思わず舌打ちをしてしまった。

 それから2年間、クロノスは、口にできない恥ずかしいスキルを持った男に、兵士の上というくらいの住居、まあ豊かな庶民の食事と衣服と武術、魔法の鍛錬や勉学の世話をしつつ、彼の恥ずかしいスキルの分析、調査に没頭することになった。予定していた王宮魔導士長への最年少での就任に向けた実績作りができなくなったのである。


 その2年間、大序龍映(たいじょ りゅうえい)、召喚時24歳は、この世界の発音の関係から、リューイ・タイジと呼ばれるようになったが、堅いライムギパンと大味の料理、堅いベッドと暑い、寒いに悩まされ、虐めるように厳しい武術、魔法の実践訓練と眠くなる魔導書や歴史、地理本を読む日々を続けた。ちなみに、異世界召喚又は転移のお約束通りに、言語の聞く、話す、読む、書くは最初から完ぺきだった。努力、半ば強制だったが、のせいもあり、ボロボロになっても、僅かな睡眠で完全回復するせいもあり、武術、魔法の能力値は順調に上昇、スキル1から5にまでなった。

 当初は、落ちこぼれ勇者と蔑んだ目で見ていた、騎士や魔導士が、

「明日からは、5人がかりじゃないとだめですね。」

「初級の火球の威力がこれですか?」

と最近言ったし、しきりに、

「流石勇者様。」

と言うようになっていた。

 タイジはというと、

「教え方が良かっただけさ。」

と言って、ともに笑っていた。結構打ち解けている・・・が、一人になると、

「こっちの方が疲れる・・・。」

と言って頭を抱えるタイジの姿をクロノスは知っていた。タイジは、日常では他人との接触はまあまあうまくこなしているが、内心は苦手なのだ。

 クロノスとそういう彼を蔑むというのとは反対に、なんとなく親近感を持つようになっていた。


 そして、今、

「クロノス次席王宮魔導士長、お前の言葉どうりにしておいてよかったと本当に心から感謝している。」

と国王から、軽く頭を下げられるのを、心からホッとするとともに、大きな大きなため息を心の中でついていた。目の前のことを見て、国王の言葉がどの程度なのかと悲しくなったからだ。

 目の前に10人以上の女達が並んでいる。全て人妻達だが、同時に全て若くない、美人ではない、スタイルは良くない、性格も悪そうだということで共通していた。奴隷の老婆とかを、形式的に他の男奴隷の妻として、ダイジの前に出せばいいのではないかと言っていたのよりはましだが、

「誰が選別したんだよ。」

と心の中で叫んでいた。選ばれた彼女達も、家の事情からやむを得ない、屈辱を我慢してのことではあったことと、比較的美しい女性はやはり可哀想、というより惜しい、悔しいというのが本音に近いだろう、だとの国王以下の意見で事前に取り下げていたことを後からクロノスは聞いたのではあるが。


 クロノスが隣に跪くタイジの方を見ると、意図を見抜いて、後から聞くと裏の事情も正確に推測していた、かつ、目の前の女達を見て、かなりげっそりしていた。

「これではダメだな。スキル発動の条件をきっちり説明しておいたのだが・・・。」

 ちなみに、奴隷の老婆形式的人妻案を聞いた時、1時間以上クロノスが説明してようやく国王達は取り下げたのだが、その時の表情は今考えると、

「どうして?」

というものだった。

「クロノスから聞いていると思うが、頼りはそなただけになった。当方の過ちは謝罪する。それなりの代償を提供するつもりだ。スキル発動のために、よくよく人選した女性達だ。好みの者を選び、魔王討伐のために、どうかまい進してほしい。」

と国王自らの言葉であり、頭を下げた、玉座からだが。

「ダメだな、これでは。」

とクロノスは思った。どうこの場を収めるか、皆ブスだからダメとは言えないし、それでは女達が可哀想だし、と頭が痛くなった、いい考えが浮かばず、流石の彼も。


 その時、スキル発動の兆候を示す光がタイジから上がり、その対象からの光も上がるのが見えた。一瞬、そこにいる全員が安堵したが、次の瞬間、対象の光の先を見て言葉を失った。それは、王妃だったからである。クロノスは慌ててタイジを見ると、彼の目には好色な光で輝いてはおらず、点になっていた。

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