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最強勇者スキルだけど口に出すのも恥ずかしい・・・  作者: 安藤昌益
恥ずかしいスキルの最強無双の出番です

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いざ魔王討伐に向けて出発~➂

 魔王討伐に最強無比の勇者が、その旅に出発する、出陣する式典は盛大に・・・はされなかった。魔王軍、魔族に対してそのことを秘匿した方がいいという判断から、特に式典というものは催すことはなく、勇者とその一行は王宮から静かに出発した。もちろん事前に、国王以下国の重鎮達の居並ぶ謁見の大広間で、出陣の報告をタイジは深々と頭を下げて行い、人妻Sは彼に合わせて頭を下げ、一応夫の顔に視線を向けた。夫達は、思わず視線を外した。

「では出発いたします。必ずや魔王を倒し、凱旋いたします。」

と宣言して、タイジは立ち上がって背を向け、人妻Sを引き連れて歩き始めた。


 彼ら一行が飾りの一切ない無骨で、頑丈で速いだけが取り柄の軍用馬車に乗り込んだ時、軍幹部と近衛兵等が整列して見送っただけだった。

 が、外に出るとどこから聞きつけたのか、多くの市民達が沿道を埋めており、彼らに向けて歓声を上げた。タイジは、馬車から体を乗り出して手を振った。群衆で進むのが遅れたのは王都中心でだけだった。そこを過ぎると、速度が上がり一路馬車と騎馬は進むこととなった。

 各地に侵攻している魔族の軍を撃退しながら魔界に侵攻することとなっていた。


「勇者殿。スキルのパーティーは、この女達を連れて行けとの国王陛下からのご命令ですぞ。」

 息せき切って駆けて来る者がいた。

 タイジも、人妻Sも無視した。彼の言う女達は、彼のはるか後方で、息も足も続いていなかった。

 クロノスが、手をかざした。そして、

「あの女達が、この結界を越えられたら、駆けて勇者様を追わせて下さい。そして、追いつくことができれば、勇者様を必ず説得しましょうと陛下にお伝えください。」

と困り果てている、その男に告げると彼はタイジ達の後を追った。


 クロノスにも、国王のある指示がされていた。

「聞き入れるわけがなかろうに。」

と彼は呟いた。

 魔王を倒した後は、人妻Sを解放させよ、彼から自由にさせよ、勇者がそれを拒むなら、元勇者チーム、集団召喚者達の安全を保障できないと伝えるように、それでも従わないのであれば、必要な措置を取るようにと言う事だった。さらに、これは先の指示に矛盾するのであるが、途中で適当な人妻達を彼に見繕い、王妃以下を解放し、救出するようにという指示であった。しかも、本人の意志、夫の意志、世の常識に反さないように、45歳以上の者、世に必要でない者とせよ、というものだった。その条件で差し出せる相手がいるかよ?とクロノスは呆れかえった。"まあ、美人で、若い、性格の良い、優れた能力のある人妻を差し出せ、なんて言ったら民の反発があるし、民を不幸にしてもいい、とは考える陛下ではないからな・・・。"と少し、同情はした。


「クロノス様。どうなるのでしょうか?」

 女騎士ヘレネが、心配そうに尋ねた。金髪のスリムな美人である彼女は、大柄でも筋肉ムキムキではないが、騎士、魔法騎士としてはかなり優秀で、この一行の騎士隊30人の隊長を務めていた。

「この調子でいけば、勇者様は魔王を倒せるさ、心配はいらない。」

と敢えて言った。そのことは、彼はほぼ確信していた。彼女の質問、不安は別にあるということもよく分かっていた。

「勇者様を裏切らないことだ。あの方ととに歩むことが、一番安全で確実な道だ。下手に、上手く立ち回ろうとしないことだ。君は実直すぎるから、そんなことをしようとしてもうまく行かないよ。」

 彼の言葉に、彼女は最後の希望を断念するかのように頷いた。

 騎士隊の他に荷運び人等の雑用係、そして王妃付きの侍女と護衛の騎士が1人づつ、が計50人。他に冒険者であり、認定勇者パーティーが2組。騎士隊は雑用係等の後方の護衛、認定勇者チームは先行偵察等と各地での交渉、連絡役であるクロノスの護衛というのが役割分担されているというところだった。既に、タイジはもちろん、人妻Sにとっても、魔族、魔王軍との戦では、足手まといでしかないのである。


「さあ、どうやったら、全てがうまく行くだろうか?」

 馬車の揺れを感じながら、タイジは考え込んでいた。前夜、人妻Sは、自分達がタイジと自分の保身のてめに実家などへの要請や行動を説明した。

「だ、大丈夫でよ~。私も勇者様といたいんですから~。」

 リリスは、タイジに両足首を掴まれ、脚を目いっぱい開かせられて、のしかかるように体重をかけられて一体になり、激しく腰を動かし、喘いでそのな言葉を口にした。口を開け、舌を突き出したので、タイジはさらにのしかかるようにして、体を伸ばしてだした舌を彼女の舌に付けた。ぺろぺろと舌同志が嘗めあった。

「あー。」

 舌を離した彼女は体を痙攣させて動かなくなった。彼女も少しМだな、とタイジは思い、自分がメロメロにしようと思っていたのに・・・と悔しがることを忘れ始めたリリスが、快感の余韻を楽しみながら、じっとしている姿があった。

「皆さん、ご実家に働きかけていますよ。私もですが、私の実家は勢力がないです・・・。でも、王宮の侍女には、他の妃付きの侍女もですが、私の手のものがいますから、一番情報が入ってきますわ。」

と荒い息をしながら語った。

「まずはお前達の力に頼り、帰りはお前らの伝手に頼ることになるだろうな。とにかく、自分も助かりたいし、お前達とは離れたくないし、どんな形でも失いたくないし・・・それに召喚された全員助けたいしな。」 

と呟くように言うタイジに、リリスと力なく頷いた。 

   

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