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神具を作る者達  作者: aqri
消える職人
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3 師匠が行方不明に

 ルオの言葉は自分と同じような考えだとわかり少し嬉しくなる。そんな考えが思いっきり顔に出るサカネを、ルオは若干複雑な心境で見ていた。

 正直この先どうするかな、と思っている。弱肉強食の世界であっても、子供一人を放り出すのも気が引ける。サージとやらが見つかるまで人探しを手伝ってやるつもりはないので、情報集めぐらいは協力しようと思っているのだが。

 この娘、嘘や隠し事が下手で全て顔に出るのが心配であるところだ。相手の言うことを真に受けすぎる気もする。ここは嘘をついて金を巻き上げようとする輩いくらでもいるし、人気(ひとけ)のないところに連れ出して好き勝手しようとする男は絶対にいる。娼館にでも売られてしまいそうだ。


 サージがすぐに見つかるとも思えない、それはあのチンピラを使った連中がさんざんやっているはずだ。時間がかかることを考えれば信頼できる者のところに預けて、商売の手伝いをさせ自分の金を作ってやらなければ。まず必要なのは生活資金だ。どうやら相当な田舎から来たようだが、この町の物価はそこそこ高い。まずは先立つものがなければ何もできない。

 自分が世話になっている職人の老人は、口が悪いし頑固だが長年ここで職人をしてきただけあって職人仲間がかなり多い。老若男女問わず顔が広いので話をしてみようと思ったのだ。行方不明になっている職人たちのことも気にかけていた。自分の飲み友達も探したいし少しだけ利害は一致している。


 賑やかな商店街を抜けると一気に小汚い風景となる。そこら中に材料などが積み重なり、あちこちから何かを叩く音や削る音が響いている。先程の町中のような賑やかな話し声はしないが、タバコを吸いながら談笑する男たちやどこからか弟子を怒鳴るような声も聞こえてくる。


「職人たちはみんなこっちに住んでるんだ?」

「あっちは旅人に華やかな雰囲気を見せつけるためのもんだ。うるさくて仕事に専念できねえって奴らはみんなこっちに住んでるよ」


 そう言いながら少し古い小屋のようなところにたどり着いた。戸を叩いたり声をかけたりすることなく扉を開ける。


「クソジジイ、てめえのお使い終わったぞ」


 ルオの言葉に返事はない。また寝てやがるのか、と悪態付きながら他の部屋に行ったがすぐに戻ってきた。その表情は険しい。


「ちょっとここで待ってろ」


 そう言うと小屋から飛び出す勢いで外に出る。そして周辺の職人たちに声をかけた。


「おい、ウチのクソジジイ見なかったか」

「見てないけど。何、いないの?」

「あのジジイ、やっぱり周りに言ってねえじゃねえか。あのな、俺が出かける前にあの野郎ぎっくり腰になってんだよ。一人でうろつけねえはずなのにいなくなってる」

「そうだったのかよ!? てっきりお前さんと一緒に出かけたんだと思ってた」


 普段は飄々として余裕な態度のルオが焦っているのを見て、職人たちもようやく事の重大さに気がついた。


「おい、まさか今噂の行方不明になってるやつか!?」

「話に聞いてた通りだ、荒らされた様子もないし何なら寝床には食いかけのパンまで置いてやがる。いじきたねえジジイが食い物残すなんてするわけねえ」


 特におかしな様子も痕跡もなく突然消えてしまう、残された家族たちの言っていることには一貫性があった。遠くに行く準備をしてから出かけるのではなく、持ち物も財布も全て置いたまま本人だけがいなくなってしまう。まして今回腰を痛めていた老人が一人でどこかに出かけるなどできない。無理矢理連れていかれたのなら争った形跡があるはずだ。たとえ荷物を元通りに戻したとしてもいなくなれば大騒ぎになるので同じこと。

 誘拐なのか自分の意思なのかわからないなと話し合っていたばかりだった。それがまさか、身近な人間がいなくなるなどルオも想定外だった。


「ねぇ、同じことが起きたってことでいいんだよね」


 さすがに男たちの話が聞こえてじっとしていられなかったらしく、サカネは家の中から出てきて声をかける。それを見て職人仲間の他の男たちがキョトンとした様子でサカネを見た。


「誰だ?」

「ああ、そういや役人の前で俺の弟子だって言っちまったな。ややこしいことになりそうだから俺の弟子ってことでいいや、挨拶しとけ」

「あ、えっと。サカネです、いなくなった双子の弟を探してます」


 ルオが軽く事情を説明する。女だという事は言わなかった。彼らを信頼していないというわけではなく、気づく者は気づくだろうなと思ったからだ。


「俺はこれからこいつと一緒にジジイと弟とやらを探す。何か手がかりや気がついたことがあったら教えてくれ」

「わかった。あのじいさんの為なら動いてくれるやつは多いだろう」


 一旦解散となり職人たちもきりのいいところで切り上げて聞き込みなどを始めていた。わずかに慌ただしくなってきた感じだ。

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