第4話 ウィークリー悪夢
私は勇予村の予言者、武反円香。今年で22歳になるわ。
予言者は予言を受け取る度に寝込むからまともなお仕事なんてできないの。
そんな訳で、今日も最低賃金のコンビニバイトに行ってきます。
家の前の道を右にずっと歩くと県道に出る。車社会の田舎の歩道って狭いのに草が生い茂っていて、脚をくすぐるの。
だけど私は毎週寝込む宿命だから免許なんて取れなくて、バイトに行く時は毎回野草にくすぐられながら荒れたコンクリートを歩く。
道端に、「核兵器を守ろう。核兵器擁護宣言のまち 勇予村」「人権のない世界を目指そう。人権根絶のまち 勇予村」という看板。普通逆よね。でもこれが勇予村なの。
勇予村は伝統的に勇者と予言者の村外への転居を認めてないから、世界人権宣言第13条の移住の自由を尊重したら伝統文化が崩壊するの。だから自治体として人権を認めないのね。
核兵器のほうは理由がよく分からないわ。村長の思想かしら?
あら?いつもは5分くらい歩いたらコンビニに着くのに、今日はやけに遠いわ。
しかも景色はどんどん山奥に入っていく。困ったわね。私は予言の副作用の昏睡以外で遅刻なんかしないのに。
上を見上げたら、ジリジリと照りつける白い太陽。
太陽って赤で描かれることが多いけれど、実際は白よね。
もう一度太陽を見上げると、ピンクだった。
そんな事もあるわよね。あるかしら?
もう一度見上げる。紫。
おかしいわ。
もう一度見上げる。緑。
おかしいわ。
もう一度見上げ……こんなに見たら目が悪くなってしまうわ。やめましょう。
目を休めるために周りの木々を見ましょう。
木々は全て枯れている。
さっきまで森の中にいたはずなのに。ここに○ッグモーターはないわよ。
今まで歩いてきた道を見てみると、さっきまでの道は暗闇。
車は1台も走っていない。
本当かしら?
道の奥から新幹線が走ってくる。
道路の上を東海道新幹線が駆け抜ける。
轟音が鳴り響く。
その轟音の中から、声が聞こえた。
「……さん……………円香さん………
円香さん!!!」
目覚めると、そこは自宅のベッドの上でした。
目の前には勇者家須桐子の顔。
おかしいと思ったら、さっきのは夢だったみたいね。
「やっと目覚めましたね!」
「……今何時かしら?」
「18時です」
「まだ儀式から6時間しか経ってないじゃない……あと最低12時間は寝ないときついわ……」
「円香さんの力が必要なんです!
ドラゴンカーセックスするための竜化薬のレシピ調べたらどれも入手困難で、冒険の旅が必要なんですけど、この村でまともに新幹線や飛行機の乗り方知ってるの円香さんしかいないんです!
レシピのコピー持ってきたんでこれ集められる旅のスケジュール立てて、引率してほしいです」
「私が旅行好きだからってあまりアテにしないでほしいのだけど……世界の危機なら仕方ないわね。冷蔵庫からエナドリ持ってきて」
「はい!」
私は桐子から受け取ったエナジードリンクを一気飲みした。
「とりあえず明日、朝5時半に役場の前に集合ね。どういう旅程になるか分からないから、空港や新幹線駅まで運転してくれる人を連れてきて頂戴。あと戦闘強い人も旅に欲しいわ」
「分かりました!」
しばらくしたらエナドリが効いてきて、旅程作りへのやる気が湧いてきた。
「旅って実際に旅する時よりも旅程組む時が一番楽しいのよね〜」