第2話 車を買おう
桐子のお母さんの車で○ッグモーターに向かう。
先月、近くのエルフの村に新規オープンした店舗らしい。
しばらく山道を走ると、山がだんだん禿げてきて、○ッグモーターに到着する頃には完全な禿山になっていた。
「いらっしゃいませ」
エルフの男性店員が接客をしていた。
桐子のお母さんが店員に話しかけた。
「つかぬ事をお聞きしますが、ここにあったエルフの村は?」
「○ッグモーターの影響で木が枯れ、みんな村を去りました。ここに居るのは僕1人です」
「あら、お可哀想に……」
「今回はどのような車をお探しですか?」
桐子が答える。
「ドラゴンカーセックスにも耐えられるような、強い車が欲しいです」
「なるほど。セックス用の車ですね。それならこちらのベンツはいかがでしょうか?車体が頑丈なので、締まりもいいと思います」
「うーん……日本人たるもの、セックスするならやっぱり国産車がいいです」
「分かりました。ではこちらのセンチュリーはいかがでしょうか?
高級車ですが15年落ちなので大変お求めやすい価格となっております」
「ちょっと実物を見てもいいですか?」
「はい」
エルフの店員は、俺達をセンチュリーの前へ案内した。
桐子は店員と共にセンチュリーの外周を回り、初期傷などを確認する。
一方俺は、車両後方のある一点を見つめていた。
車の排気口。ドラゴンカーセックスをする際に挿入する穴。
ここに、ドラゴン化した桐子の性器が突っ込まれるんだと思うと、変な気分になる。
こんな綺麗な高級車に俺は敵わない。
別に桐子は俺のものじゃないのに、桐子を取られたような気がした。
「宗くん、車の中も見ようよ」
「あ、ああ」
桐子に呼ばれて、俺は後部座席にいる桐子の隣に座る。
「座り心地がいいね」
「本当だ。すごい」
「センチュリーのコンセプトは『ショーファー・ドリブン』。所有者が運転席ではなく後部座席に座っていることを想定した車なので、後部座席の座り心地が優れているんですよ」
「そうなんですね~!
私中学生でまだ免許持ってないし、こういう車のほうがいいかも。何よりセンチュリーって勇者にピッタリって感じがしない?」
「そうだな。世界を救う勇者には高級な車がピッタリだ」
「お母さ~んこれ買いたい」
「分かったわ。購入手続きをするわね」
桐子のお母さんはセンチュリーを降りて、店員と共に建物の中に入っていった。