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田舎のペットショップはミニ動物園みたいだった

作者: 神保康弘

キツネ、たぬき、ロバは値札が無さそうだったので非売だったようです。

 20年前私の東北地方の田舎のある場所にペットショップがあった。

 普通の犬猫やウサギ、金魚などのお魚、どこからとっ捕まえてきたのかキツネやたぬき、ロバなんかも見かけた。


注 キツネ、たぬき、ロバは値札が無さそうだったので売り物ではなかったようです。


 私は猫派だが犬も好きだ。兄弟家族の中では母親と私が猫派、父親と妹が犬派、兄とはあまり仲がよくなかったが猫派だと思う。


 ちなみに母方の実家には複数の半ノラ猫がいて祖父がよく可愛がっていた。キジトラなのにクロと名付けられた大きな丸顔の猫が一番好きだった。しかし半ノラだったのでいつの間にかいなくなったり車に轢かれたりしてしまったようだ。

 子供の頃は夏休みになると母方の実家に行き無料の50メートルの市民プールに午前、午後と行ってたくさん泳ぎ、帰り道にあのエノコログサ、猫じゃらしみたいな形の草を一本引き抜いて持ち帰り、猫と遊んだりした。あのプールも私の上京から数年後には閉鎖され埋め立てられてしまった。




 ペットショップにいる猫はケージの中に入っていて指をつんつんするくらいならできた。運動はしていないみたいでどの猫も結構ふくよかで体格がいい。値段も結構安く少し貯金すれば買えそうだ。

 店内のとある猫に指つんつんしてるとケージの中から両前足を出して私の頭をガシってロックしてくれた。


(おお······!こいつなかなか可愛いではないか。でも父親が猫嫌いだから買えないんだよなあ。)


 犬はリードに繋げられて触れあうことができた。ミニチュアシュナウザーだったかドイツの小型犬っぽい犬がいて凄く欲しいと思ったが上京前だったので諦めた。




 ロバやキツネはあまり記憶にないがたぬきはとても面白かった。たぬきは一匹だけだが店の外の目の高さにある1メートル四方くらいの檻の中にいて、夏の時は檻から手を出してくれたりもするんだけど冬の寒い日には丸まってずっと寝ていた。


 外が吹雪いているとある冬の日に私はたぬきを見に行った。たぬきもさすがに寒いのかこげ茶色のバレーボールみたいになっている。しかし手を伸ばせば普通に触れる。すごく無防備だ。

 運動もせずに毎日餌を喰っているからかこのたぬきもかなりふくよかだ。冬毛でフサフサしててモフり甲斐がありそうだ。よく見ると檻から少しお肉がはみ出ている。私はそのたぬきちゃんのお肉をおもいっきりつねって引っ張ってみた。


「フギャーッ!ギャオッギャオッ!」


 たぬきは直立し歯を剥き出しにして物凄く唸り、怒り狂って私に文句を言ってきた。今にも襲いかかられそうな怒りっぷりだ。しかしたぬき語わからない。野性に戻ったかのような激怒だったがたぬきなのであまり怖くはない。私も荒ぶる鷹のポーズで威嚇したりなんとかなだめすかしたりして私はその場を後にした。


 と思ったら5分後にまた自然と足がたぬきの方に向かってしまっていた。物足りなかったようだ。


 たぬきはまたもやバレーボールみたいに丸くなっていた。私は何を考えていたのかまた檻からはみ出ているお肉をおもいっきりつねって引っ張った。ごめんよたぬき。


 二度目もまた直立し怒り狂ったたぬきに物凄く怒られた。こんなにまで憎まれてしまっては当分たぬきの檻に近寄れないだろう。その後は当分ペットショップに行くことはなかった。


 私が上京してから数年後には残念ながらそのペットショップも閉店してしまった。

 あのたぬきどうなっただろう······?

 幸せなたぬき生を送れていればよいのだが。







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― 新着の感想 ―
[良い点]  タヌキやキツネを売るペットショップが現実にあったこと。今はできないみたいですので、貴重な体験だったのではないかと思います。 [気になる点]  ツネられたタヌキのその後。  本当に元気で暮…
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