君の恋
3編纏めた詩です。
書くのは初めてですが、恋をテーマに、自分の思いの丈を表現しました。
上から順に時系列になっているので、ぜひ楽しんでもらえると嬉しいです。
『春』
春を往く。
君は恋をする。
花の勾配を滑り落ちる。
甘酸っぱさと心地良さと少しの不安が君の隣に生まれる。
春が往く。
底が消える。
君は空に投げ出される。
葉はどれも空に散り、花は君を振り返らない。
春は往く。
君は、
要らない。
『怪物』
怪物はいる。
血肉は喰らわないけれど、
鋭い歯や爪もないけれど、
怪物はいる。
ただ醜いだけの怪物が。
理解できなくて怯えてる。
理解されなくて喚いてる。
なんて、醜い。
人に飢えて。
愛に飢えて。
そんなのきっと、人じゃないから。
怪物。
『憧憬』
ガタンゴトン、電車が線路を叩く音。
ザワザワ聴こえる。誰もそんなことは言わないのに。
海の向こうは丸くて何も無くて、
空はびっしり青い。
風って、どこから来るんだろう。
近くの声はひどく歪で、
隣の色はネオンみたいにやかましい。
遠くなるほどなべてならされて、
きっと、憧れている。