第6話 デッキ完成!!
でけた。
「よし……と」
デッキ作りから40分後、ついにデッキが完成した。
こんな適当な能力しか書いてないカードゲームのデッキ作りなど、簡単だとどこか思っていた俺だったが、大量のカードの能力チェックに相当な時間を食ってしまい、デッキを組むのにここまでの時間がかかってしまった。
(とにかく……デッキは完成した。後は試験に臨むだけだ)
カードゲームのデッキ作り。しかもこの世界のカードゲームは普通のカードゲームではない。いわば仕事道具。しかも間違えれば命の危険がある仕事。
(初心者だけど……デッキの作りこみは悪くない……と、思う。だから大丈夫……大丈夫……)
不思議なものだ。ギルドに行く時はあそこまで楽しみだったのに、今では試験を受けることにある種の恐怖を感じる。
自分はこれに合格できるのか、冒険者になれるのか、不合格になってしまったらどうしよう。そんな気持ちが頭の中で交差する。
(今ここで受かりたい……いや受かるんだ!!)
俺は完成したデッキを片手に、ドアノブをガチャリと捻り、外の廊下で律儀に待ってくれていた受付嬢さんに声をかける。
「あの……」
「デッキは完成しましたか?」
「はい! 完成しました!」
「そうですか。ではこちらへどうぞ」
受付嬢さんはデッキが完成したことを確認すると、俺をさらに奥へと誘導してくれる。どうやらこの先にテスト会場があるようだ。
(よーし、本番はここからだ……)
俺はそう考えながら、コツコツと言う足音とともに廊下を歩いていく。
「これから、この先にいる面接官とバトルしてもらいます。そのバトルの内容で合格か不合格かが決まりますので、頑張ってください」
「…………」
もはや考えることなど何もない。ただ目の前に現れたものを受け入れ、乗り越える。それだけだ。
「レンタ・イトウ様、どうぞ」
「……はい」
目の前にあるのはドア。しかし、カードが大量にあった部屋の時と違うのはその高級感。
なんというか、モダンというか、デザインに疎い俺でもおしゃれだと感じるような作り。イマドキよりではなく、昔ながらの良さといった感じだ。
……そしてもう一つ、前のドアとは違う点がある。
(余裕だ……大丈夫。ただ開けて、迎えるだけ。ただそれだけでいい)
ゾーンと言うやつだろうか。目の前の物に対して何も感じない。
俺はゾーン状態のまま、ドアノブを捻り……
「よう!! 君が今回の相手か!!」
「…………」
筋肉ムキムキの、体育系の男が待っていた。
ブックマーク、感想、評価よろしくお願いします!!