一方その頃……
イトウがギルドを出たときと同時刻……
とある城の一室。
大きなテーブルが置かれたそこには、恰幅の良い男と、ローブに杖を持った男の2人が向かい合わせの席に座り、何か話しているようだった。
「どうじゃ? 今年の勇者候補たちの様子は?」
最初に話しかけたのは恰幅のいい男。ローブの男に対して、礼儀のないその態度からは、ローブの男よりも恰幅の良い男の方が身分が上だということがわかる。
「今年もなかなかに豊作かと……」
次に喋ったのはローブの男。喋り方を見るに、やはりローブの男の方が身分が低いようだ。
「ホッホッホ……それはいい傾向じゃな。よし、勇者決定戦の時期を予定より早めるのじゃ、そうじゃな……今日から3ヶ月後に開催を目指すのがよかろう」
「良いのですか? いくらなんでも早すぎるような気が……」
「だからこそじゃ。最近のモンスターの強さや他の都市の冒険者のレベルは日に日に上がってきておる。今こそ、今だからこそやらねばならないのじゃよ」
恰幅の良い男の言葉を聞いたローブの男は、少し考えるような仕草をとった後……
「……了解しました。では明日から3ヶ月後の開催を目標に、準備を進めます」
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