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第18話 召喚っっ!!

 目の前に現れた大きな盾。それはモンスターからの攻撃を防ぎながらも、その場に確かに存在していた。


「盾……でっか……」


 モンスターからの攻撃を防いだ大きな盾。


 それはとても女の子1人が持ち上げられるようなサイズではなく、モンスターがぶつかったときの音からも、その盾は確かにハリボテではなく、金属だということがわかった。


「グルル……」


「でも、まだ……」


 そう、まだモンスターの攻撃を防いだだけだ。


 肝心のモンスターを殺しきれていない。当たり前の事だが、盾だけでは生物を殺すには至らないのだ。


「大丈夫です」


 その時、まるで俺の心を読んだかのように、安心させるかのように俺に向かって喋りかけてくる。


(ん? あれは……)


 気がつくと、女の子の近くで黒い長方形の物体が浮遊している。


 それには確かな見覚えがあった。


(あれって……バトルコア?)


 黒くて長方形で浮遊する物体など、俺はバトルコアしか知らない。



 そのバトルコアに、彼女は手を伸ばすと――――



「……ドロー」



 バトルコアが一瞬光り、その手にカードが握られた。



「魔法カード、10本槍を発動!!」



 モンスターの頭上に、10本の槍が降り注いだ。









 ――――









「だ、大丈夫ですか!? 本当に痛くないですか!?」


「あはは……大丈夫大丈夫」


 あの後、モンスターを倒した女の子と俺は、森を抜けるための道を歩いていた。


「ああ……私のせいで……」


「いや、君のせいじゃないから……あはは」


 モンスターが襲ってきたときに、俺は衝撃で尻餅をつき、手首をついてしまっていた。


(おーイテテ……)


 これにより、明日のバイトに多少の影響は出てしまうだろうが、彼女を責めるのはお門違いだ。


 最悪の事態を多少の痛みで免れた。そう考えるとしよう。


「ああ……何か回復できるカードは……」


 彼女はさっきから手にカードを数枚持ち、浮遊しているバトルコアからカードを何回もドローしていた。


「あっ……お兄さんは何かカード持ってませんか!?」


 くるりとこちらを振り向き、カードは無いかと聞いてくる。



「あー……ごめん、俺、今はカードもバトルコアも手元になくて……」



 俺は彼女にそう言うと――――



「じ、じゃあ……バトルコアあげます!!」



「……へ?」



 話の脈絡がつかめない唐突な発言。俺の発言のどこを聞いたらバトルコアを渡すという結論に至るのかよくわからん。どうやら彼女は思い込みが激しいらしい。



「い、いや申し訳ない――」



「だ、大丈夫です!! わ、私はいくらでも代わりもらえるので!! け、怪我させたお詫びってことで!!」



 さっきまでのおどおどした雰囲気からは想像がつかないほどの饒舌。俺が話を挟む隙がない。



「いや、だから――」



「あ、あ! ま、街見えてきましたよ!! バトルコアは置いておくので! そ、それでは!!」



「え、いやちょ――」



 街が見えてくると、彼女は俺が言葉を返す暇もなく、女の子とは思えないスピードで走り去ってしまう。


(はっや!?)


 そして、そこに残されたのは、手首を痛めた俺と、浮遊するバトルコアのみ。





「……帰るか」





 俺は考えるのをやめ、街に向かって歩いて行った。


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