表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

18/34

第17話 客観的に見たら脅迫

 俺は試験により失った自信を取り戻すため、ティーンの森に入り、スライムを大量に殺しまくった。


 その結果、スライムを10匹討伐することに成功し、少しは自信を取り戻すことに成功。もうじき暗くなるため、帰ろうとしたのだが……


「あ、ううぅ……」


(端から見たら脅迫だなこれ……)


 目の前にいるのは1人の女の子。金属の防具に身を包んでおり、俺と同い年位に見える。


 そして彼女の手には、3枚ほどのカードが握られている。


(うーん……)


 見た目からして、彼女も冒険者。スライム大量発生を聞いて、ティーンの森に入ってきたのだろう。


 しかし、それだと俺をストーカーしてきた理由にはならない。


(ま、聞いてみるか)


「なぁ、あんた」


「ヒッ……は、はい……」


(いちいち怖がられるのも面倒だな……)


「安心しろ、体を触ろうってわけじゃない。聞きたいことがあるだけだ」


 彼女を落ち着けるため、自分は害を与える気がないことを伝える。これで少しは落ち着くことができるだろう。


「……なぁ、なんで俺を隠れて見てたんだ?」


 俺の質問に対し、彼女は怯えた様子を見せつつ、その震える唇でポツポツと答える。


「え、えっと……この時間に人が森にいることが珍しくて……それで、その……ごめんなさい!」


 彼女は理由を言った後、大きな声で謝罪の言葉を述べる。


(確かに、真夜中に1人で森に入るやつはなかなかいない……理由としては成立している……か)


 完全に陰険だが、こんな怯えた女の子がぱっと嘘を考えつくとは思えない。この理由は本当と断定していいだろう。


「……じゃあ、あんたはなんでここにいるんだ?」


「あ……仲間の中で、私が1番弱いので……その……特訓っていうか……」


(……なるほどな)


 おそらく、彼女はどこかの冒険者パーティーの一員なのだろう。


 しかし、その中で自分が1番弱いので、誰にもバレない深夜にこっそり練習していたところ、俺を発見し、興味本位でついてきたのだろう。


「こんな真夜中に森を徘徊してた俺も悪かったから、今夜は許すけど……もうこんなことするなよ?」


「あ……はい……すみません……」


 彼女は俺に頭を下げ、再度謝罪してくる。


「…………」


 彼女が頭を下げてきたとき、俺は思わず彼女の防具を目にしてしまった。


 その高そうな防具に、目の前の彼女は冒険者なんだと理解させられる。


(女の子でもクリアできる試験に、俺は落ちたのか……)


 俺は改めて、自分の力のなさに失望を覚える。取り戻しつつあった自信が体から抜けていくのを感じた。


(……気持ちが暗くなる前に帰ろう)


 俺は彼女に別れを告げるため、「じゃあね」と言葉を述べようとしたその時――――



 俺たちの立っている場所の右側から、何かが飛び出してくる音が聞こえた。



「ギャルァァ!!」



 そこにいたのはモンスター。動きが速く、シルエットでしか確認できなかったが、明らかにこちらに敵意を示している事はわかる。


(まずい!!)


 いくらシルエットが確認できても、それに体が反応しなければ意味がない。このままでは体が反応する前に、モンスターの攻撃がこちらに当たってしまう。


 既に俺のどうにかできる範囲を超えている。これから襲ってくる痛みに耐えるしかなくなり、思わず目をつむってしまう。



(くる!!)



 ……と。



(うおっ!?)



 と、その時、とても大きな衝撃音が響く。



 そして何故か、俺の体に痛みが走ってこない。それを不思議に思った俺は、目の前で何が起きたのか確認するために、ゆっくりと目を開けると……



「あの……大丈夫ですか?」



 そこには、ついさっきまで怯えていた女の子と、モンスターの攻撃を防いだ大きな盾があった。

 ブックマーク、感想、評価よろしくお願いします!!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ