第16話 人だ! 人だぁ!!
「ふうう……」
「……!? ……!」
俺はあの後、スライムを殺しに殺しまくった。
大量発生の効力は絶大で、ほぼスライムにしか遭遇せず、なおかつ孤立しているスライムを狙うことで、ほぼ無傷で10匹狩ることができた。
そして今も、スライムにナイフを突き刺し、ぐりぐりとねじ込んでいる最中だ。
「…………」
「……ふぅ」
そして今、スライムは力尽き、そのプルプルの肉体を光に変え、カードが残る。
「…………」
(うし……カードを回収回収……)
この世界では、カードはお金と何も変わらない。冒険者でなくとも、ギルドで売却すればお金になるからだ。
「うん……! こんなもんかな」
もうスライムを10匹も殺したし、失っていた自信もある程度は取り戻すことができた。もう日も暮れる。明日に備えて帰宅するとしよう。
頭の中で今後の予定を決め、今日はこの辺にして森から出ようと――――
(……ん?)
――した瞬間。どこからか視線を感じる。
殺気立った視線ではない。どちらかと言えば、こちらに興味を示しているような視線だ。
(こちらに害がないならいいけど……見られてるのは気分が悪いな)
このまま見られ続けるのも気持ち悪い。ここは一つ……
「誰だ!!」
視線を感じる方に一気に振り向き、大きな声を上げた。
するとどうだろう。俺以外誰もいないはずの森から、ガサガサと何かが動く音が聞こえる。
(今だ!!)
その瞬間、故郷の村1番である自慢の足で、音が聞こえた方に走り、その姿を確認した。
そして、そこにいたのは――――
「……へ?」
「あ……ご、ごめんなさいぃ……」
高そうな防具を着こんだ女の子だった。
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