第15話 モンスターの死体……?
ティーンの森でのスライム狩り。
その初戦はスライムの隙をつき、少し卑怯ではあるが、俺の勝利に終わった。
「よし、よし、よし……!!」
俺はその達成感に包まれ、その嬉しさのあまりに天を仰ぐ。
勝てた。勝てたのだ。俺でもモンスターを狩り、お金を稼ぐことができる。その事実だけで俺の心は満たされていた。
スライムとはいえ、モンスターを殺すことができたのは事実。時間をかけさえすれば、そのうちゴブリンやオークだって、作戦を立てることで倒すことが可能になるだろう。
スライム程度の雑魚モンスターを倒した程度でオーバーだと思うかもしれないが、はじめてのモンスター狩りに成功した俺には、それが何よりも嬉しいことのように思えた。
(これならいける……俺でもモンスターを狩ることができる!)
……と、達成感に浸っていると、あることに気づく。
「あ、忘れてた……カード回収しなきゃ」
俺はスライムの死体の方に目を向けると、死体が光り輝いて1点に集まり、1枚のカードを作り出す。
この世界では、モンスターを討伐すると、このように死体が光り輝き、モンスターがカードになって残る。
冒険者はそのカードを利用し、モンスターを狩り、カードを手に入れてそれをギルドに売ることで、お金を稼いでいる。
「まぁでも……たかがスライムだからなぁ」
そのカード名はスライム。
しかもバニラカード。テキスト一切なしの能力なしのカードだ。
バニラカードは基本的に需要がない。なぜなら能力がないので、戦況をひっくり返す力が皆無だからだ。
なので故郷の村でも、スライムカードが手に入ったとしても捨てるのが普通だった。
1枚の単価がとてつもなく安いからである。
しかし、塵も積もれば山となる。1枚の単価が安いスライムでも、たくさん集まればそれなりに金になる。
「よし、行くか!!」
俺はそう言い残し、森のさらに奥へと進んでいった。
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