第14話 ティーンの森
さぁたどりついたティーンの森。一見どこにでもあるような森だが、この森の中にはスライムと言う世にも恐ろしいモンスターが大量発生しているときた。
「む……」
スライムはともかく、夜の森の中に足を踏み入れるのはそれなりに勇気がいる。何度も入っていれば慣れるのだろうが……これが初めての俺には、当然ならば少し勇気がいる行為だった。
「……よし、行くか」
覚悟を決め、俺は森への最初の1歩を踏み出した。
森の中はやけに暗く、葉っぱと葉っぱの間から刺す薄暗い光が気色悪い。目が暗闇に慣れないとまともに進めなそうだ。
足場の方はかなり不安定で、少し足の力を抜くとコケてしまいそうだ。
「この暗さじゃあモンスターに襲われたら対処できないな……一応ナイフを持っておくか」
まだ俺の目は暗闇に慣れておらず、モンスターに襲われると一撃もらうのは確実。俺の体では一撃で致命傷になる可能性もあるため、攻撃を受けてしまう可能性は1つでも減らさなければならない。
そのため、気配を感じたらすぐに対処できるように、ティーンの森までの道なりにあった道具屋で購入しておいたナイフをリュックサックから取り出し、手に持っておく。これである程度は対処できるだろう。
「後はこっちから攻撃できれば……」
何とかできるかもしれない。そう思っていると……
「っと! いたいた……!!」
まるで運命に誘われているかのように、運命が俺に従ってくれたかのように、少し先にスライムらしきものを発見した。
(そうそう、アレアレ……)
その姿は水色の球体で、ぷよぷよと弾力のありそうな姿をしている。
(よし……)
「…………」
俺は言葉を発さず、物音を立てないように、ゆっくりゆっくりと近づいていく。スライムにはまだばれていない。
スライムがこちらに気づかないうちに、物音を立てず近づいて……片手にあるナイフを手に……
「――っ! ふん!!」
スライムに思いっきりナイフを突き刺した。
「……!! …………!!」
「動くなよ……! こんのっ……!!」
スライムは急に出てきてナイフを突き刺してきた俺に大きく驚いているようで、突き刺されたナイフを抜こうと必死に暴れている。
当然と言えば当然の行動。生き物が命の危機に直面した時、必ず行う行動だ。
(かわいそうだが……!!)
スライムがピチピチと水音を立てて逃げ出そうとする姿を見ると、思わず逃がしてあげたくなる気持ちが湧いてくるが、今は街にいるわけではない。俺も殺さないと、目の前にいるスライムに殺されてしまうかもしれない。
俺はそのまま体でスライムを押さえ込み、ナイフをスライムから1度引き抜き……
「……ふん!!」
もう一度、思いっきりナイフを突き刺した。
「…………」
「あ……」
そこでスライムは力尽き、ピチピチと水音を立てていた体が急激に溶け出し、水となって消えていった。
スライムが消えてしまった後の世界は、かなりしんみりしている。
命を奪った実感。夜の森と言う雰囲気も相まって、それがより一層強く感じられる。
――――がそれよりも……
「や、やった……!!」
俺もモンスターを殺すことができた。その達成感が何よりも、俺の体を支配していた。
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