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第10話 ダイレクトアタック!!!!(ガチ)

 がんばったぜ……

「「グアアアア!!!!」」


 目の前で繰り広げられるオークどうしの熾烈な争い。

 技と技の応酬ではなく、パワーとパワーの押し付けあい。

 凄まじい音と揺れる地面が、それを表していた。


(凄え……これもカードバトルならでは……!!)


 モンスターと人間なら絵本でいくらでも読んだことがあるが、モンスター同士の戦いは初めてだ。


 大迫力の戦いとはまさにこのこと。ムキムキ男のオークが拳で攻撃すれば、俺のオークも手に持つ棍棒を使い、ムキムキ男のオークの頭を叩く。


 お互いのオークがどんどん傷だらけになっていくが、やはり棍棒を持っている分、俺のオークの方が有利に見える。


(行ける……このままなら!!)


 確かにこのままいけば、ムキムキ男のオークを破壊することができる……





 …………そのままなら。





「甘いぞ!! 落雷を発動!!」


 ムキムキ男がそのカードを唱えた途端……


「なっ……」


 俺のオークに雷が落ちた。


「って……」


 凄まじい落雷が俺のオークを襲った後、俺はその衝撃ですっ転んでしまっていた。


(一体何がどうなって……)


 カードの力とはここまでのものなのか。


(というか落雷って……そんなカードなかったぞ……?)


 そんなに強そうなカードがあったら、俺だってデッキに投入するのだが、そんなカードはあの大量の束の中にはなかった。


(ムキムキ男だけのカードってことかよ……!!)


 だが、いつまでもそんなことを言ってはいられない。こんなことを考えている間にも、ムキムキ男のオークは俺にゆっくりと近づいてくる。世の中の不平等を嘆いている暇があれば、早くカードを使わなくては。


「ッ! 貧相なゴブリンを召喚!!」


「ギュルル!!」


 俺の残り3枚しかない手札の中から、選択したのは貧相なゴブリンのカード。





【貧相なゴブリン】


【能力】

 ゴブリンの中でも1番地位が低い下っ端ゴブリン。





 その姿はとても小ぶりで、小学生位の身長しかないにもかかわらず、その腕や足にはしっかり筋肉がついている。肌が緑色でなければ、ゴブリンではなく人間だと勘違いしてしまいそうだ。


 一見、小ぶりなゴブリンと巨大なオークでは、オークが有利そうに見える。

 その考え方は間違いではない。実際、ゴブリンとオークが戦えば、軍配は間違いなくオークに上がるだろう。



 しかし、それはどちらもベストコンディションだった場合の話だ。



 こちらのゴブリンは召喚されたばかりで無傷なのに、ムキムキ男のオークは先程の戦いでボロボロ。あの状態のオークなら……


「ギャアアアア!!」


「グオオ……」


「よし!!」


「むぅ……」


 やはり俺の思った通り、既に疲れ果てていたオークにまともに戦える力はなく、ゴブリンのフットワークから放たれるアッパーをアゴにもろに受け、地面に倒れて光となり消えていった。


(おお……生で初めて見た……!!)


 モンスターが光になり消えていくエフェクトはテレビ越しにしか見たことがなかったので、思わずじっと消えていくところを眺めてしまった。


 そんなことをしていたのが間違いだったのだろう。カードバトルに目を向けず、バトル中に別のことをしてしまったのが、この勝負を分けた。


「あっ……が……」


 突如、右頬に強い衝撃と共に痛みを感じた。

 感じたことのない衝撃ではない。どこかで感じたことがあるような、どこか懐かしい痛み。


「……バトル中に他の事を考えるとは、感心しないな」


(なっ……殴られ……)


 そう、俺はいつの間にかムキムキ男に近付かれ、拳で殴られていたのだ。


「あがっ……」


 そこからさらにアッパーをもらい、脳を大きく揺らされる。意識を手放すには十分な一撃だった。


「なんで……」


「……忘れたのかい? このカードバトルのルールを」





「何をやろうと……生命ライフを失った方が負けだと」

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