女神との邂逅
『ここは、どこ…なの?』
『コーくん。……コーくん?
コーくん!?どこにいるの!』
『後ろ後ろ』
『コーくん!』
ーーーうぉっ!?
安里に飛びかかられると支えきれねぇよ!
『コーくん、怖かったよぉぉ』
まぁ、初めてだと怖いだろうな。
光に包まれて、晴れたあとが知らない場所だったらな。
『落ち着け、安里。
多分………いた!』
告一は上下左右が真っ白な空間で一点を見つめた!
『やっほー☆
元気してたぁ?ブラック!』
【ブラック】は、あっちの世界で使っていた名だ。黒井だからブラック。
『えっ?コーくん!
あの子、浮いてるよ?翼が生えてるよ?』
あー、浮いてるな、生えてるな。
あいつは女神だからな。
『あれ~?ブラック、その子だぁれ?』
『あっ、分かった!ガールフレンドだ♪』
ガールフレンドの言葉を聞いて、安里は『えへへぇ』っと照れて自分の世界に入りだした。
……とりあえず、この女神には聞いておくことがあるので、安里はあとだ!
『リーナ!
お前に言われて魔王軍を殺してきて、日本に戻ったのに、これはどういうことだ!!』
これとはもちろん、魔方陣の光によってこの空間に転移したことである。
『え?
魔王、殺してないじゃん?』
『魔王…軍って何?
私が言ったのは、魔王を倒してきて、だよ?』
ーーーは?
『は?』
『え?』
何もない空間に静けさが残る。
いや、安里が照れた『えへへぇ』の言葉だけが聞こえる。
『……俺、あっちで30年頑張って仲間と協力して魔王軍を滅ぼして、魔王の首を胴体と斬り離してやったよな?』
『魔王はまだ生きてるし、あなたが救った国は滅びたよぉ?』
『あと、魔王は軍隊を持ってませーん』
魔王が軍隊を持ってない?
なら、俺があの世界で戦ってきた強敵共はどういうことなんだ?
『人間も悪いねぇ~♪勇者を騙すなんて☆
だから、滅びるんだよね~♪』
ーーーあの愚王!俺を騙してたのか!?
女神リーナの開いた右手の手の平には、立体映像が映し出される。
映像には、炎が燃え盛り、そこら中の家が燃えて崩れていく中で、中央に大きな陰が立っている。
『あれは、魔王アナウス……』
『ねぇ~?いるでしょ~?』
じゃあ、なんで俺は…戻ったんだ?
女神リーナに話を聞くと、魔王が長い時をかけて構築した古の魔法を発動して、俺を日本へ強制送還したらしい。
俺は魔王が死んだと思ったから、優しい光に包まれて、やっと日本に帰れると喜んでいたのに!
『あれ、コーくん泣いてるの?』
ーーー泣いてないやい!
『……。
なら、安里は日本に戻して、今すぐに俺をあの国に送れよ』
『えっ、……コーくん?』
安里は告一の突然の発言に、まだ状況が飲み込めていないながらも驚く。
ーーー安里は巻き込まれただけだ、あの非現実な日常を送らせるわけにいかない。
『どっちも無理ぃ~♪
あの送還の魔法は、一応は成功しているしぃ、君のガールフレンドも巻き込まれたら参加しなければいけませんよ~』
『なんだと!』
あんな戦闘が日常のような世界で、安里みたいなごく平凡な女の子が生きていけるはずがないだろう!?
『その代わりにぃ、ブラックには送還前の力のまま、召喚当時に戻ってもらう』
当時……ってことは、異世界召喚の初めから全て知ってて、力もカンストした状態なのか……でも!
『安里ちゃん?には特典を3つあげるよ!』
ーーー特典?
『俺の時は特典なんて…無かった…よな?』
『忘れちゃったの☆』
こいつ……。
あの世界でも、そうだったな…。
神託は送ってこないし、勇者の武器の場所とかも忘れてるし!
『……コーくん、怒ってる?』
『あぁ!怒ってるともさ!』
『安里ちゃんはこの箱から特典が書かれた玉を取ってね』
『わかりました!』
俺が特典を貰えなかったことに、この女神をどうにか呪殺できないか企んでいると、安里が箱から玉を3個取り出していた。
『【鑑定】【言語理解】【学習】?』
【鑑定】
触ったもの詳細が理解する。
これが、あれば序盤でもレアアイテムが分かったし、毒が盛られているか心配しなくても良かったなぁ~
【言語理解】
知らない言語であっても理解できる。
俺が…俺が、どれだげ苦労してあっちの言葉を覚えたと思っているんだ!?
【学習】
情報を理解し、覚える。
良いなぁ……、俺なんて、あっちで師匠の技を覚えるまでにどれだけ、しごかれたか……はぁ。
『あれ?あ、合体しちゃった……』
『『え?』』
安里が溢した言葉に女神と俺が反応する。
【全知全能】
全てを解析し、覚え、身につける。
女神に新しい特典の内容を教えて貰ったが、チート能力じゃねぇか!?
『特典の次は種族を決めてね♪ブラックも』
『『え?』』
今度は、安里と俺が女神の言葉に反応した。
『これで、決めまーす♪』
女神は、ダーツを空間から取り出す!
ーーー……ダーツだな。
『はい、ブラック用♪』
『おい』
『じゃあ、開始!『おい!』…何ぃ?』
『ほとんどが、カスみたいな種族じゃねぇか!』
カエル、ミミズ、蝿、ノミ、etc……
『だってぇ~、ブラックはそれでも強いじゃない?』
『くそっ、…オラッ!』
『えっ!?【人】に刺さった!?』
極細の中に【人】と書かれているマスを見つけたので、投げて刺す!!
ーーーさっきまであの世界の勇者だった俺の動体視力をなめるなよ!
『次は、私の番だね!…えい!』
あ、なんで安里も参加することになってるんだ?
俺は女神リーナに目を向ける。
目が合った。
女神リーナは、にやりと口角を上げる!
ーーーあいつ!まさか、女神の力を使って誘導してやがったな!
『安里ちゃんの種族も決まったので、召喚されて貰いまーす♪』
『ちょ、待ーーー』『コーくーーー』
2人は魔王討伐のために、王都マスウェルで召喚されるのであった。
ヒロインの最終特典を【理解】→【全知全能】にしました♪