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運命の日
時は樹歴600年代。人族の砦が魔族軍の強襲を受け怒号と剣劇が鳴り響いている。砦の屋上から戦いを見下ろしている金髪の王女は、その惨劇を憂い祈りを込めた。
(我が兵に力を……!)
突如王女は七色の輝きを放ち、兵に力が宿る! 弓兵は雷の迸る矢を放ち、剣兵は燃え盛る剣で魔族を次々と討ち滅ぼしていく――
一方、一人の見習い兵が、突如戦場に響き渡る雄叫びをあげて黒き鋼の魔獣となり、単身敵軍の只中に飛び込み腕から伸びた鋼の刃を一閃――その瞬間に敵将の首は音もなく切り落とされた。
一部始終を見ていた弓兵は後に語る。
――2人はまるで世界樹の頂から舞い降りた神の使いと、地を這い暴れ回る魔神の子のようだった、と。
……
――これはある王女と見習い兵の生きる道を決定付けた運命の日の出来事。2人は更なる成長を遂げ永き争いに立ち向かっていく。物語は全ての始まりへと遡る――





