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登場機体

YHF-F-00101 エンフォーサー

全高: 7.2m

動力: ウィートンT214 核分裂バッテリー、ヴェクターV 液体燃料ロケットエンジンx2

色: ネイビー、左肩に道化師のノーズアート

武器: HF-FW-078 20mmスマートPDW、HF-FW-078-1 "ベイルファイア" 47mm焼夷ライフルグレネードx3、カルマンKG-23 頭部レーザーガンポッド、多目的バヨネットナイフ


 オーヴィルの駆る軽量高性能HF。高い機動性と安定した操縦性を併せ持つハイエンド機であり、近・中距離での射撃戦闘に適性を持つ。

 本機は元々、次期主力HFの座を賭けて「ガーディアン」と競争試作で争った機体である。小型ゆえの拡張性の乏しさが災いして制式化を逃し、本格的な量産には至らなかったが、自社案の採用を確信していた開発元はそのとき既に100機ほどの先行量産機を完成させてしまっていた。これらの機体はメーカーの倒産後に流出し、各地のパイロットの手に渡ることとなる。

 軍から見捨てられ、親であるメーカーを失ったこの機体に価値を見出したのは、装備に個人裁量権を持つ特殊部隊員や傭兵だった。彼らがエンフォーサーで叩き出した戦果が本機の評判に繋がり、いつしか「失敗作」から「幻の名機」「ベテラン好みの機体」へとその評価を一転させたのだった。現在ではエンフォーサーやそのパーツはプレミア価格で取引されており、本機に乗ることはHF乗り達の間である種の憧れとなっている。

 本機の設計思想は、専用に開発された主兵装、スマートPDWに最も色濃く表れている。発射ガスの一部を利用して弾道を曲げる機構を持つこの銃は、機体自身の照準システムとリンクすることで目標の未来位置を予測し射撃を行う。弾道補正機能を盛り込んだ分、射程は同クラスの通常火器より短いが、本機の得意とする激しい機動戦の最中でも安定した命中が期待できる。

 オーヴィルの機体は彼が士官学校に入る際、財界人の父親が特別に誂えたものである。ただでさえ最高級の機体に更なるチューンナップを施し、マッサージ機能付きの本革シートまで奢った特注品であり、お陰でオーヴィルは同期達から奇異の眼差しを浴び続ける気まずい訓練生活を味わうこととなった。



NiV-0037-93 チェルノボーグ93型

全高: 9.2m

動力: NER-300 小型核融合炉、ヤヴチェンコM-82 核熱ロケットエンジン

色: マットブラック、機体各部に赤のアクセントライン

武器: ホルトベルケHW-99 "カン・オープナー" 大型チェーンアックス、グリゾフPG-2m 76mmヘビーリボルバーx2


 リジーナの愛機。ガーディアン系の機体とは別の企業共同体、ニコラエフ・ヴォルコフ設計局が開発した重量級のヒロイック・フレーム。設計当初から白兵戦に特化した機体として設計されており、至近距離での殴り合いを信条とするリジーナも満足する圧倒的なパワーとタフネスを誇る。

 ヴァールの爪や牙による攻撃を受け流すため、有機的曲線で構成された複合素材装甲を採用。破壊されやすいヘッドパーツは索敵性能よりも信頼性と整備性を重視したモノアイタイプとするなど、格闘機としての適性のみを追求した結果、その性能を体現するかのようなマッシブかつ威圧的な外観となった。

 リジーナ機には各所に独自のカスタムが施されており、中でも巨大なチェーンアックスが目を引く。敵の立て籠もるコロニーや宇宙船に突入するために開発された工兵用機材であり、大型艦の隔壁をも切り裂く回転刃は対ヴァール用の白兵武器としても非常に有用。元々はとあるコロニーの治安維持軍が装備していた武器だが、住民に圧政を敷くコロニー政府への反乱に加勢した際に分捕り、そのまま使い続けている。

 なお本機は構造が堅牢で故障しにくいことから、HFの運用ノウハウに乏しい民兵や自警団、果ては宙賊にまで普及している。そのため、ガーディアン系列の機体を好む一般的なパイロットからは「ならず者御用達の機体」というあまり有難くないイメージで見られているようだ。



XHF-F-55002-G2 ガーディアン・デヴァステイター

全高: 8.8m

動力: ER-300M 高出力燃料電池、カルマンH8K 小型核融合炉、KM-118 "ストリーカー" 液体燃料ロケットエンジンx4

色: オーカー、武装とシールドのみホワイト

武器: オブジェクト635 試作型ヘビー・フュージョン・ブラスター、大型耐熱シールド、HF-FW-094 オート・プラズマピストル


 サミュエルが搭乗する試作型HF。当時の主力HFであったガーディアンIIに試作兵器ヘビー・フュージョン・ブラスターの運用能力を持たせた砲撃戦用の派生機種であり、実戦テストも兼ねて少数が生産された。

 機体の基本構造はガーディアンIIのものを踏襲しているが、大型化したバックパックには武装にエネルギーを供給するための核融合炉が搭載されている。ヘビー・フュージョン・ブラスターは核融合炉が生み出す莫大なエネルギーを高収束の熱線として照射する一種の焼夷兵器であり、有機生命体なら瞬時に蒸発、艦船などの装甲目標であっても数秒間の照射で熔融させる威力を秘めている。この武装が発する高熱と閃光に耐えるため頭部には可動式の遮光バイザーが増設され、また左腕には冷却機構を内蔵した大型シールドを備えている。更には戦闘データを収集するために索敵/分析装置も高性能のものに交換されており、限定的ながら指揮官用HFとして運用することも可能。

 なお試験用の機体であるため実用性は度外視されており、ヘビー・フュージョン・ブラスターのチャージを行うと周囲に高強度の放射線を撒き散らし、HFを制御する電子機器に悪影響を与えてしまう。また高熱と放射線からパイロットと計器類を守るため、コクピット周りは鉛と耐熱材を重ねた分厚い遮蔽板で覆われているが、その結果パイロットの居住性は大きく損なわれてしまった。遮蔽板の厚みが搭乗スペースを圧迫し、さながらプレス機の中に押し込まれたような乗り心地らしい。

 サミュエルの本来の任務はこの機体でヴァールとの戦闘を行い、新兵器の性能評価を行うことであった。しかし連合戦線末期〜機甲大戦緒戦の混乱下でデータを確認できる者などおらず、この機体の存在自体も歴史の闇に消えることとなった。

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