レインコート・コートという人物
レインコート・コートは僕が作った藍色のレインコートなのだが、こいつがかなりの変わり者だ。レインコートのくせに雨より晴れが好きなのだ。その事をコート・コート(それがあだ名なのだ。彼がそう呼んでほしいといと言った。)に問いただすと、決まって彼はこう言う。「雨は私の存在理由だが、人は自分の存在理由を否定して始めて、自立の道を歩むのさ。」そういうとき僕はだいたいコート・コートを無理やりに着てしまう。コート・コートはそれなりの抵抗はするが、割とすぐにおとなしくなる。
レインコート・コートは私が古着屋で買ってきた濃い青色のレインコートだが、この人はかなり変わっている。レインコートなのに水たまりが苦手なのだ。その事をR・コート(彼がそう呼べと言ったのだ。)に聞くと、彼はいつも「水たまりでは私は貴方を守れないからな。愛する人を守れないという絶望から私は奴を嫌悪するのさ。」と言う。そういうときはだいたい水たまりをバシャバシャやって彼にいたずらするのだ。
レインコート・コートさんはおばあちゃんがくれたそら色のレインコートなのだが、このレインコートさんはかなり変わっている。レインコートなのに晴れた日に散歩に行きたがるのだ。だから私は晴れの日にはいつもレインコートを着ている。レインコートさんはとても優しくてお話も上手だし、退屈とは真反対のところに住んでいた。ある日レインコートさんと秋の陸橋まで行ったとき、てっぺんまで来ると彼は「行かなくては」と言った。「何処に行くの?」と言うと、彼は楽しげに答えた。「神の居城よりも不思議の国よりも素敵な場所を探しに征くのさ。私はいつでもそれを探していた。君もいつか探してみるといい。」それだけいうと、レインコートさんは空の色に溶けて消えてしまった。秋風が吹き、私は身を震わせてしまった。木枯らしの音が彼を祝福するようにいつまでも響いていた。
あまり着ている人は見かけませんが、レインコートと傘だとレインコートのほうが好きです。
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毎日1話以上の投稿を目指していて、今日で10日目、今日3個目の投稿です。