異世界でバカやろーぜ
俺、八幡 暁はこことは少し違う世界からやってきた。多分。
そりゃ、最初はホームシックならぬワールドシックになりかけたわぁ。
けれど、今じゃこっちの世界にも慣れてきた。
仲のいい友達もできた。
しかし、もとの世界に帰ることを諦めた訳ではないからなぁ!
諦めない、諦めない、諦めない!
俺は今、友人たちと仏閣巡りをして、くじを引くところである。
「やったぁ、大吉大吉ーぃ」
大吉を引いて喜んだのは、大吉 明里、運のいいやつだ。
「ちぇぇ、小吉かよ……」
小吉を引いて面白くない顔をしているのは末吉ふぁるこん翼。
あまり運がいいほうではない。
「中吉とか微妙にゃ」
中吉を引いて微妙な彼女は中吉 子
「中吉とか俺よりええやん。交換してぇーー」
ふぁるこんがねこを羨ましそうに見ている。
「いや、なんでやねん。大吉スルーかいな! 」
「いやいや、大吉ってあとは下がるだけやん。真ん中が一番安全なり」
「うぅ……僕は話にすら出れないとか……くすん。もう人生終わりだぁぁぁ……」
そんなことを言うのは佐貫 小吉。
たかがくじで人生は終わらない安心しろ。
ちなみに彼の目をジャックして見たが末吉だった。
明里がなにか言いたそうだ。
「ん?」
「ギョウくんはどうだったのかな? 宝くじ」
ギョウくんとは俺のことだ。暁と書いてギョウと読めることから俺のあだ名はギョウだ。
「生憎、ひき肉、全部ハズレたよ。……俺は笑って誤魔化すが、心、ショックだった。一枚しか買ってないのに……」
「一枚かいな!」
明里はとっさにツッコんだ!
ふぁるこんが来た。
「で、ギョウ、結局何吉だよぉ教えろよぉ」
「俺は引きたいんやない、掛けたいんや!」
「ほーら、いいから引くんなら引きなさい」
「引きたくない引きたくない、掛けたいんや!」
…………
………………。
引くことにした。おみくじを。
一瞬「凶」の文字が見えたが、その後、文字は消え、白い紙になってしまった。
皆が俺のを見るが真っ白の紙になっていたので驚いた。
明里、いう。
「白紙って……こんなことあるんだぁ……きっとなにかのミスだよ」
「ふっ、人生、白紙、いいじゃねぇか。かっこいいじゃないですか! 運命は自分で切り開く。神はそうおっしゃっておられる!」
どうやら、元々、僕はこの世界からしたらイレギュラーだから、まぁ、多少はね。
俺を異世界人だと知っているのは俺のほかに俺だけだ。
明里が少し困った顔で言った。
「ま、まあ、気を取り直して、次の場所いこうよ」
ふぁるこんがハイハーイと手をあげて提案する。
「空穿つ武蔵の塔いったことないしいこうぜ」
「あ、私も空穿つ武蔵の塔いったことない。あそこから絶景見たぁい!」
ツッコミに疲れたのか、明里はふぁるこんに合わせて答える。
空穿つ武蔵の塔ってアレのことだよな。
次の目的地である空穿つ武蔵の塔に出発した。