幼女な僕と高飛車王女様
ホームルームが終わり再び雑談が始まる。キースは僕と同じ四大貴族ーーー今は一つ減って三大貴族なのだがーーーのトワイライト家の次男。で、リンとグレンはトワイライト家に代々仕える従者の子なのだが、幼なじみという事もあり身分の差はあれど友人として気楽な付き合いが出来ているのだとか。
面倒見もいい、顔もいい、家柄もいいって健治と似ているとは思ったけど、天と地程の差があるじゃないか。いや、そういえば健治も面倒見も顔もいいし、家柄もそこそこいいのだ。ただチャラいだけで。あと品が無い所か。
「で、いつリンにドレスを着せようか?」
「ちょっ!?あの話マジだったの?」
「ドレスならフローラお姉様が大量に用意している筈ですわ。私と体格も似ていますし、可愛いからお姉様も協力してくれる筈」
「話進みすぎ!俺の逃げ場ないじゃん」
「リンの女装…見てみたい…」
「お前は欲望駄々漏れさせてんじゃねぇ!」
今日初対面だというのに違和感なく会話が進んでいく。健治と一樹の二人と初めて会った時もそうだったけど、気が合う者同士だと会話の内容に事欠かない。
「リンの女装計画は後々煮詰めるとして。アイリスとこんなに打ち解けれるとは正直思わなかったよ」
「絶対にその計画は阻止するからな!まあ、アイリス…ああ、アイリス様の噂が噂だったしな」
「キースと同じように私もアイリスと呼んで欲しいですわ。で、どんな噂ですの?」
「ああ、夜中に大爆発を連発したとか、名も無き集落で聖女と呼ばれ街にまで発展させた才女とか、あとは何だっけな…」
「婚約破棄の為に戦争を起こし、戦場で先頭を突っ切った破天荒だとは聞いている」
「うう…全て事実なだけに否定出来ませんわ」
流石は上級貴族と言った所か、僕の事に関する情報は全て知っているのだろう。ここでその詳細を語らないのは彼等なりの気遣いなのか。
「そして、元婚約者を処刑したのでしたわよね?」
僕達の語らいに横槍が入る。彼等もその事には敢えて触れないようにしてくれていたのに、無遠慮な一言でその気遣いを踏み壊していった。教室は静まり返り、キースと僕は貴族としての顔に、リンとグレンは従者としての顔に戻った。最初に言葉を発したのはキースだった。
「リスティア王女様。アイリス・セントローランは謀反を事前に食い止めた英雄でもあります。そのような言い方は…」
「キース、かまいませんわそれも事実ですから…リスティア王女様御初に御目にかかります。私、セントローラン家三女の…」
「あなたの名前なんて興味ありませんわ。そんな事より少しいいかしら」
いきなり空気をぶち壊し面を貸せと言って来た彼女、会うのは初めてだが、国王から聞いていた通りの人物像で僕はすぐにこの人だと分かった。
国王陛下の孫にして、時期国王と言われている第一王子の一人娘。金髪縦ロールという、誰もしないであろういかにも王女様といった髪型に、燃えるような紅い瞳。我儘、忘却武人という手に追えない性格で、教育係の全てが彼女の独断で首になったらしい。
「少し席を外しますわ」
彼等にそう告げて廊下へと向かう。王女の後ろには取り巻きだろうか、クラスの女子全てが王女に付いて行く。
どうせ配下に下れとか、キースと話してたのが気に入らないとか、そんな所だろう。どちらにしろ、僕も彼女には用があったのだ。むしろこの状況は都合が良かった。




