幼女な僕のお父様②
私は急ぎ馬を走らせていた。
必ず届けなくてはならない。
必ずあの子の無念を晴らさなければならない。
滲む視界を無視して馬を走らせていった。
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『大好きなお父様へ。
スズキ家にて謀反の兆しあり。
この指輪はその証拠となる魔道具です。
どうか、この魔道具を急ぎ国王様に届けて頂けるようせつに願います。
魔力を込めるだけで起動します。
どうか、どうか、私の願いを聞き届けて下さい。
本来でしたら今日、日頃疲れているお父様の肩を揉んで差し上げたく思っていましたが、それは叶いそうにありません。
不出来な娘をお許しください。
アイリス』
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あの子は一体どんな気持ちでこれを書いたのだろうか?
きっと聡いあの子の事だ。自分が嫁に行けばスズキ家の勢いは止まらず、国家転覆は避けられないと考えていたのだろう。それを止める為に自ら身体を張り、その証拠を掴んで来たのだ。
恐らく、アイリスは無事ではないのだろう。
良くて捕らえられたか、もしくはもう既に…
不出来なのは私の方だ。私は父として、私自身が矢面に立ち断固としてこの婚約を断るべきだったのだ。
まだ11歳だったのだ。許せぬ…許してなるものか。
必ず仇をこの手で…必ずお前の無念を晴らしてみせる…
城門を無理矢理通り、国王への謁見を申し出る。本来なら懲罰ものだろう。
だが、止まる訳には行かない。あの子の最後の願いを叶える為にも急ぎ国王に会わなければならないのだ。
「お待ち下さい!セントローラン卿!国王も謁見の準備をしております!どうか、暫しお待ちを!」
「放せ!一刻も猶予はないのだ!」
何人もの兵が身体を張り私の行く手を阻んでくる。城内は騒然とし、その騒ぎを聞き付けたのか騎士団まで集まってくる。
「一体何の騒ぎだ!……父上何故ここに!?」
その中には娘のイヴの姿もあった。
「イヴ…アイリスが遺書を飛ばしてきた。私はあの子の最後の願いを国王に届けなくてはならぬ」
「アイ…リス…が…死ん…だ…?」
「副団長殿…?」
急変したイヴの様子に騎士団員達に動揺が広がる。
「通せ……父上を通せっ!!邪魔するものは斬る!!」
イヴの気迫に怯んだ兵達。その隙に私はしがみついていた兵を振りほどき国王への元へと向かった。
謁見の間の扉を自ら開ける。本来であれば、前もって日取りを決め、武器の携帯の検査、そのあと兵に案内されてここに来なければならない。
その全てを無視したのだ、最悪死罪を覚悟しなければならないだろう。
「国王陛下っ!!」
国王は玉座に座っていた。恐らく騒ぎを聞きつけ急ぎ準備してくれたのだろう。だが、やはりその顔は不機嫌に彩られていた。
「火急の用とはいえ、余をここまで急がせたのだ。それなりの覚悟は出来ているのだろうな?」
「覚悟は出来ております」
国王の前で膝間付き次の言葉を待った。
「……よい。申せ」
「はっ!我が娘アイリスより連絡あり。内容はスズキ家の謀反の証拠を至急国王陛下へと」
「なっ!?何だと!!」
国王陛下もこの内容には驚き。周りに控えていた兵達も動揺していた。
「…して、その娘は?」
「詳細は不明ですが、恐らくはもう…」
私は膝間ついたまま証拠である指輪を差し出す。
「それは?」
「娘が作りし魔道具にございます。魔力を込めれば起動するとの事」
「そうか、アルベルト」
国王の隣にいた側近が返事をし、私の手から魔道具を受け取り魔力を込めた。
指輪の魔道具から光が放たれ、そこには小さなアイリスとその周りの景色が写し出されていた。
もう少しお父様視点が続きます。スズキ家で何があったのか次話で明かすつもりなので、もう少しお付き合い頂けたらと思います。




