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幼女な僕と勇者と魔王の代理戦争  作者: 七星ヒカル
一章 幼女な僕の戦争
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幼女な僕の誘惑

 目が覚めて辺りを見回す。

知っている場所だが、何故ここにいるのだろうか?


 僕達が立ち上げた魔道具工房。だけど、いつもと違い中は荒らされていた。


 僕は側にいるであろう、侍女の名を呼んだ。


「カノン。私はどれくらい寝てたの?」


「二時間ほどです。アイリス様」


 窓から見える景色はまだ明るい。


「そう…記憶が曖昧なの。あれからどうなったのか説明してくれる?」


「はい」



 ロイドが亡くなった後、僕は皆に戦争をしようと言って、皆もそれに頷いたらしい。

 ロイドの弔いの時、泣いていたロイドの子供のレイを抱き締め、僕はずっと謝っていたそうだ。

 その後、ここに来て泣きつかれた私はそのままここで寝てしまったと。


「私はちゃんと弔えたかしら?」


「はい…ロイド兄さんも幸せだったと思います」


 兄さんという言葉に引っ掛かり、その時初めてカノンを見た。彼女は必死に涙を堪えていた。


「兄妹だったの?」


「いえ…ですが、兄のように慕ってました」


 僕は起き上がり、カノンを優しく抱き締める。


「カノン、泣きたい時は泣きなさい」


「はい…アイリス…様?」


「何?カノン?」


「戦争を…されるのですか?」


 カノンは未だに涙を堪えているが今にも決壊しそうだった。


「そう…ね、出来れば皆を巻き込みたくないけど」


「お願いします。わ、私に…仇討ちの機会を…どうか…」


「……その時が来たら私が許可をだすわ。必ず討ちなさい」


「はい…必ず………う、うあああっ!!」


ーーーーーーー


 泣きつかれて寝てしまったカノンに毛布をかける。


「さて、始めましょうか」


 カノンが泣いてくれたお陰でいくらか冷静に戻った僕は考える。

ただレオナルドを討つだけなら簡単だ。屋敷に一発デカイのを撃ち込んで更地にしてしまえばいい。

 だけど、それでは駄目なのだ。大義名分も無しに討ってしまえば、それはただの反乱に終わり、今度は国と戦わなくてはならなくなる。

 討っても問題ない理由が必要だ。


 どうすればいい?何が必要だ?


 そもそも何故鈴木家はあれだけの軍事力を保持しようとしているのか?


 王都より強い軍事力…


「そうか、そういうことか」


 僕はカノンに書き置きを残し、向かった先、酒場の扉を開く。


「よう、聖女の嬢ちゃんじゃねーか。どうした、今日は飲みたい気分か?」


「全部忘れるくらい飲みたい気分ですけど、あいにくまだ年を誤魔化せるほど成長してませんので」


 僕が会いに来たのは冒険者の男グラハムだ。まだ外も暗くなってないというのに、この男はもう酒を飲んでいた。恐らく弔い酒だろう。


「誤魔化せたら飲むのかよ!流石嬢ちゃんだ!……で、ここまで足を運んだ理由は?」


 流石と言うか長年冒険者をやってきた勘はするどい。まあ、話が早くて助かるけど。


「グラハムさんかなりお酒強いって言ってましたよね?どれだけ飲んでも騎乗に支障がないって…連れて行って欲しい所があるのですけど」






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